阿藤さん誕生日が命日 遺骨は海へ
大動脈瘤(りゅう)破裂胸腔内出血のため69歳で急死した、俳優の阿藤快さんの通夜が20日、生まれ育った神奈川県小田原市内の斎場で営まれ、TBS系ドラマ「下町ロケット」で共演した俳優・阿部寛(51)や同郷の女優・名取裕子(58)ら600人が参列した。阿藤さんの妹によると、亡くなったのは69歳の誕生日だった14日。誕生日が命日とされる幕末の志士・坂本龍馬を崇拝し、「生まれた日に死ぬのが夢」と生前、語っていたという。
祭壇には地元愛にあふれる阿藤さんの笑顔があった。遺影は数年前に「小田原北條五代祭り」で北條早雲役を演じた甲冑姿。05年から地元を盛り上げ続けた役だった。
阿藤さんは、同じ神奈川出身で“妹”として親交があった名取から贈られた鯛柄の着物姿でひつぎに納められた。着物の上には、82年放送のドラマ「セーラー服と機関銃」のハッピがかけられ、ゴルフ用品も入れられた。
都内の自宅で亡くなっているのが発見されたのは15日だったが、死亡したのは69歳の誕生日にあたる14日だった。坂本龍馬を敬愛していた阿藤さんは「生まれた日に死ぬのが夢」と話していたといい、くしくも、その言葉通りに誕生日が命日となった。
実家前に広がる相模湾にちなみ、芸名に「海」を付け、01年の改名まで名乗った。遺骨は実家付近の宗福寺に納める予定というが阿藤さんの妹によると、「遺骨は海にまいてくれ」と海に還ることを望んでいたという。
多忙でも地元愛を絶やすことはなく、05年スタートの「小田原映画祭」の実行委員長就任や「-五代祭り」への参加、10年から「小田原ふるさと大使」を務め、地元の盛り上げに尽力してきた。映画祭実行委員会関係者は「優しく素朴な方だった」と温かな人柄でけん引した故人に感謝の言葉を寄せた。
葬儀・告別式は21日に同所で営まれる。喪主は長男の基(もとい)さん、弔辞は地元の同級生が務める。