ゲゲゲの女房 水木さんに「見守って」
11月30日に多臓器不全のため93歳で死去した漫画家・水木しげるさんの通夜が1日、東京都調布市内で営まれた。妻・武良布枝さん(83)ら家族はこの日、水木プロダクション公式サイトで「100歳まではいくようだネ」と語っていた水木さんが、家族に囲まれ穏やかに天国へ旅立ったことを明かした。通夜前には妖怪評論家で作家の荒俣宏氏(68)が自宅へ弔問に訪れ、“恩師”との別れを惜しんだ。
「ゲゲゲの鬼太郎」などで知られる水木さんの訃報から一夜明け。“ゲゲゲの女房”布枝さんら家族が、最近の水木さんの様子を明かし別れを惜しんだ。
発表したコメントによると、水木さんは「100歳まではいくようだネ、いや120歳かな」と長寿に思いをはせていたという。それだけに「お父ちゃんが亡くなる。信じられないことでした。いつの間にか100歳を迎える、と思っていました」とショックを隠さなかった。
水木さんが昨年暮れに心筋梗塞で倒れ2カ月入院していたことも記された。今年2月には、車いすで退院。持ち前の強さで自宅から調布駅前の仕事場までの1キロを歩くようになり、「何かうまいものはないの?」が口癖になるほど食欲も回復。だが、11月11日に自宅で転倒し、硬膜下血腫で緊急手術。30日未明に容体が急変、帰らぬ人となったという。
戦争で左腕を失うなど戦争の悲惨さを作品でも伝えてきた水木さんは「最期は神様が決めることに従ったらええ」と語っていたという。「これも神様が決めたことだったのかも知れません。家族を一番大切に思ってくれたお父ちゃん。これからもきっと見守っていてくれると思います。今は、亡き戦友との再会を喜んでいるかもしれないですね」と思いをつづった。
通夜前には自宅を離れる水木さんを長女ら家族が見送り、「父ちゃん」という涙交じりの声が漏れた。1961年の結婚から半世紀以上連れ添った布枝さんは後日、開くお別れの会で思いを口にするという。