渡辺謙の“命を救った”夫婦愛
芸能界で大騒動が続発する中、心配なニュースも飛び込んできた。米・ハリウッドでも活躍する国民的俳優の渡辺謙(56)が、胃がんで手術を受けたことを発表した。不幸中の幸いで早期がんだったため、内視鏡による手術で済んで、術後の経過も良好だという。早期発見できたのは、妻で女優の南果歩(52)の勧めで人間ドックを受けたことがきっかけ。渡辺は自身のツイッターに、妻への感謝の気持ちをつづった。
芸能人同士の夫婦ではプライベートを表に出さないことも珍しくないが、渡辺は決してそういうタイプではない。過去に何度も本人を取材してきたが、南のことを「カミさん」と呼んで、ことあるごとに“夫婦愛”をのぞかせてくれている。
渡辺・南夫妻の始まりは、文字通りの電撃婚だった。2005年12月、渡辺が米・ニューヨークで行われた出演映画「SAYURI」のワールドプレミアに、当時は熱愛が報じられたことすらない間柄だった、南を伴って登場。タイミングを合わせるように、日本で所属事務所を通じて入籍を発表し、世間を驚かせた。
帰国直後の成田空港で、夫婦2ショットで結婚会見。腰に手を回すなどラブラブオーラを全開にしつつ、渡辺は「海外で仕事をやろうと思ったのも、彼女がきっかけ。『やってみるべきよ』と背中を押してくれた」と南との出会いが、役者としての転機となったことも告白した。
その後の渡辺の日米を股にかけた活躍ぶりは、周知の通り。昨年3月にはニューヨークでの主演舞台「王様と私」で、ブロードウェイデビューも果たした。役作りのために頭を丸刈りにしたが、渡米前に顔を合わせた際、事情を知らず驚いていると、「気合を入れようと思って、カミさんにバリカンで切ってもらいました」と教えてくれた。公演初日、南はその時期に連続ドラマにレギュラー出演し撮影に追われていたが、多忙の合間をぬってニューヨークに駆けつけて、夫の晴れ舞台を見届けた。
渡辺は家庭内でのポジションを、『南=ボケ』、『渡辺=ツッコミ』と表現したこともあった。関西人である南のノリに、渡辺も合わせているようだ。ともに演技をなりわいとしているが、ウソか真か、夫婦の会話のメインは「仕事のことより、タイガースのこと」だという。
渡辺が阪神タイガースの熱烈ファンだということは広く知られているが、兵庫県出身の南も、実は生粋の虎党だ。南は「私の方がファンとしてのキャリアは長い!!」と張り合う。夫婦そろって甲子園へ観戦デートに出かけることもしばしば。渡辺が仕事で試合経過をチェックできないときは、午後9時頃の「今日、どうだった?」と妻に尋ねる電話が、“日課”になっているとか。
がん公表前の1月下旬、渡辺と今シーズンの展望について虎談義に花を咲かせたときには、「ゴールデンウィークが終わって落ち着いたころには、甲子園で観戦したいなと思ってます」と楽しみにされていた。手術と療養を経て、当初の予定より2週間遅れとなる3月17日から、舞台「王様と私」に再出演して、仕事復帰することが決まった。病を克服し、1カ月間のブロードウェイ公演も乗り切った渡辺が、“命の恩人”でもある最愛の妻と連れ合って、甲子園を訪れる日を待ちたい。
(デイリースポーツ・丸尾 匠)