「火花」海外へ 吉本の社長が明かす
吉本興業の大崎洋社長が25日、大阪市内で、立命館アジア太平洋大学(APU)との連携協力発表会見に出席し、芥川賞を受賞した又吉直樹の小説「火花」の海外出版の可能性があることを明かした。連携プロジェクトに「小説の翻訳や意訳」が挙げられており、「火花」について「さまざまな形の中で、翻訳ということもある」と語った。
会見で吉本は、APUと連携して「ジャパンコンテンツの海外展開」に向けた人材育成、コンテンツ開発などを行うと発表。その中で、吉本の持つ有力コンテンツの1つである「火花」も海外戦略の1つに浮上した形だ。純文学でありながら、漫才を題材にするなどエンターテインメントとしての間口の広さがある「火花」が、海外に“飛び散る”可能性が出てきた。
「火花」は日本ではすでに240万部を超える大ヒットを記録。大崎社長は「出版社からほかの芸人さんのエッセーなどを出さないかという話も来ている」と国内で波及効果が出てきていることも付け加えた。
吉本は現在、上海メディアグループと番組を共同制作、アメリカの大手エージェンシー「CAA」とも国際共同制作を行っている。アジアでは台湾、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナムには「住みます芸人」を派遣するなど、海外事業を展開中だ。現在、83の国と地域から約3000人が留学に訪れているAPUと連携することで、将来のさらに大きな海外事業の発展を目指している。
プロジェクトには小説の翻訳以外にも、「沖縄国際映画祭」への学生の参加、社員の大学への派遣などが挙げられており、さまざまな形で“笑いの輸出”を推し進めたい考えだ。大崎社長は「2人の会話だけでできる漫才がアジアンドリームとして成立しないかと思っている。海外の方に漫才を知ってもらって、将来はNGKで中田カウス・ボタンの漫才を同時通訳で聞いて頂けるようになれば」と夢を膨らませた。