小百合、龍一が演奏会で被災者にエール

詩を朗読する吉永小百合
東北ユースオーケストラをバックにピアノを演奏する坂本龍一=東京オペラシティ
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 女優の吉永小百合(71)が26日、東京オペラシティで行われた、音楽家の坂本龍一(64)が代表・監督を務める「東北ユースオーケストラ第一回演奏会」にゲスト出演し、2011年に起きた東日本大震災の被災者にエールを送った。吉永は震災から5年たった今も仮設住宅に高齢者が1人で暮らす現状に「この音楽を聴かせてあげたい」と声を詰まらせながら訴えた。

 吉永はオーケストラ105人と坂本龍一のピアノ演奏をバックに5編の詩を朗読した。

 曲は吉永主演の映画「母と暮せば」のサウンドトラック。2014年7月から咽頭がんで仕事から離れていた坂本の復帰作で、原爆の落ちた長崎を舞台にした「戦争と平和」がテーマの深い映画。坂本は「何か長崎と東北がつながったような不思議な気分だ。胸が締め付けられた」と吉永の朗読をたたえた。

 吉永の左手にはスカーフが巻かれていた。2月20日に左手首橈骨(とうこつ)を骨折、10日にギプスを外したばかり。それでも、アンコールで坂本とジャズピアニストの山下洋輔(74)の演奏が始まると、舞台のソデに立ち、リズムに合わせて踊り手拍子を送った。終演後には「リハビリに3カ月かかるから。拍手はしてたフリ。今日は興奮してるけど、あしたになったら腫れるかも」と明かした。

 被災した東北の小学生から大学生で構成された今回の演奏会を「坂本さんの力です。ご病気もあったのにここまでなさって。とても感動しています」とたたえた。一方で「仮設で寂しく暮らしているおじいちゃん、おばあちゃんにこの音楽を聴かせてあげたい」と声を詰まらせながら訴えた。

 5年たっても仮設で高齢者が1人で暮らす現状に「『何でまだこうなの』と思います。どうしたらいいのか分からなくなってきました」と憂いも見せたが、ステージ上で「2回目はいつやるの?嫌だといわれても駆けつけます」と1600人のファンに継続支援を力強く宣言した。

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