両国国技館ライブ2016年問題で脚光
w-inds.の15周年記念ライブ(13、14日)、BEGINの25周年記念ライブ(20日)。そして、渋谷すばるのソロ公演(26、27日)。この3月に、東京・両国国技館で行われたライブだ。
大相撲の殿堂が、コンサートで使用されるケースが増えている。国技館の担当者は「3月はよく利用してもらいました」と話し、w-inds.が所属するポニー・キャニオンの宣伝担当者も「うちでもアニメのイベントを開いたりと、最近は利用が増えている」と明かし、その理由について「2016年問題で会場探しに苦労しているので」で教えてくれた。
2016年問題。首都圏の劇場やコンサートホールの改修・閉鎖が重なり、施設が不足する事態は、かなり深刻だ。すでにSHIBUYA-AX、青山劇場が閉鎖。日本青年館、渋谷公会堂も改修に入った。さいたまスーパーアリーナは5月15日まで、横浜アリーナも7月まで改修で使うことができない。
そんな中で白羽の矢が立った形となったのが国技館だった。収容人数は、6000~1万人で「ステージの組み方で調節できる。広すぎず狭すぎず、ほどよい。サイズ感で使いやすく、すり鉢状の客席は見やすい」(レコード会社関係者)。JR総武線の両国駅から近く、交通の便がいいところも、ウケているという。
一歩踏み入ると、通常のホールとは違う異空間が広がる。会場に入るまでの壁面は相撲絵が彩る。扉を開け会場に入ると、また“相撲色”が満載だ。四方の壁にはこれまでの優勝力士を描いた「優勝額」が飾られ、対戦表も1月場所のまま。頭上には吊り屋根がしまわれていた。
最も特徴的なのは1階席のマス席。130センチ四方に鉄パイプで囲まれた空間で、大相撲の本場所では座布団4枚を敷くが、ライブでは、座布団はなく、2~4人が定員。土足は禁止だ。
若いファンは普段のライブでは味わえない非日常を楽しんでいる。w-inds.のライブに訪れたマス席のファンは、靴を脱ぎ正座して開演を待っていた。いざ始まると、靴下や裸足でジャンプ、ジャンプ。神奈川県から来たという女子大生は「裸足でライブ見るの初めて。不思議な感じだけど面白い」と白い歯を見せた。
楽しむのはアーティストも同様。渋谷すばるの公演では、会場外に自らの名前を大書した「のぼり旗」をはためかせ「ふんどし締めた気分で頑張ります」と大張り切り。センターステージで躍動した。w-inds.ライブでは国技館仕様のグッズが販売された。座布団に相撲文字でメンバーを書いた湯飲み、ステッカーなど。いずれも飛ぶような売れ行きで「特に座布団は即完売だった」という。
大好評の“ライブハウス国技館”も来年には改装を予定しており「2017年は相撲以外の行事は行わない予定」という。というわけで2016年問題の“ワンポイントリリーフ”を楽しむのは今のうち。ぜひ一度、一度行かれてみてはいかが?
(デイリースポーツ・杉村峰達)