「べっぴんさん」ヒロインに芳根京子
今秋にスタートする次期NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」のヒロイン役が6日、デビュー3年目の女優・芳根京子(19)に決定し、大阪市内で発表された。演技力が注目される新進女優の芳根は、朝ドラのヒロイン選考を4作連続で受験し、前作「あさが来た」の波瑠(24)と同じ“4度目の正直”で大役をつかんだ。5日に合格を伝えられたばかりで、「まだ状況が飲み込めません。夢のようです」と初々しく喜びを語った。
「あさが来た」が今世紀最高視聴率を記録するなど、3年連続でヒットした大阪制作(毎年後期放送)の朝ドラ。そのバトンが、注目の若手女優に託された。
5日に最終選考だと伝えられて訪れたNHK大阪放送局で、突然合格を伝えられた芳根は、驚きと喜びで涙を流したという。
2262人(うち男性1人)の応募者から、選考でヒロイン「すみれ」役に抜てきされた。この日も「いろんなことが突然起こって。びっくりで、正直何が起きているのか…」と戸惑いが隠せない様子だった。
今、最も注目される女優の1人に挙げられるが、近年のヒロインに比べれば、キャリアは浅い。しかし「いつか朝ドラのヒロインになりたいという思いが強くあった」と、15年「まれ」から「あさが来た」「とと姉ちゃん」を連続受験。最高で2次面接止まりだったが、4度目の挑戦で大役を射止めた。いまや時の人となった波瑠とは“4度目の正直”や、東京出身という共通項があるが、ヒット作の流れを受け継ぐことは「プレッシャーです」と正直に答えた。
三鬼一希・制作統括は「愛くるしくも、心の中に芯がある、我々が思い描く『すみれ』を演じるに最もふさわしく、その1点だけで選んだ」とキャリアなどは考慮せずに選考したことを説明した。
同作は、ベビー服メーカー「ファミリア」(神戸市)の創業者、坂野惇子さんがモデル。ヒロインが戦後の焼け跡の中で子供服専門店を立ち上げ、仲間と激動の時代をたくましく生きる物語。神戸を1度も訪れたことがないという芳根は、来週から関西弁や洋裁などの特訓に入る。
「選んでいただいたからには、私にできることを120%発揮できるよう頑張りたい」。19歳の新星は、歴代の先輩に負けない笑顔で決意を語った。
また、芳根は同日夕方には都内で会見。デビュー前の中学2年時に、体に力が入らなくなるギラン・バレー症候群を患い、1年間、学校に通えない時期があったことを告白した。かつて故大原麗子さんが闘病したこともある難病は現在完治している。
芳根は「皆さんが芯が強いと言ってくださるのは、病気を経験し、ちゃんと自分を持とうと思えたからかなと思います」と語った。また、“オーディション荒らし”の異名があることを聞かれると「そう報じられた3日後のオーディションで落選。言われるほどでもないんです」とにこやかに返した。