熊本地震 死者9人、負傷1000人以上に
熊本県益城町で最大震度7を観測した熊本地震で、熊本県警は15日、建物の倒壊などによる9人の死亡を確認したと発表した。けが人は千人を超え、53人が重傷。20軒以上の家屋が倒壊した。地震発生を受け、安倍晋三首相(61)が14日に収録に参加し、17日の放送を予定していたフジテレビ系「ワイドナショー」(日曜、前10・00)が、首相の出演部分をカットする可能性が高いことが分かった。また、芸能界からも心配の声が相次いだ。
県警や警察庁によると、死亡が確認された9人は益城町の61~84歳の男性3人と54~94歳の女性4人、熊本市東区の29歳の男性と68歳の女性。うち倒壊家屋の犠牲者が8人で、残る1人は自宅内で転倒して亡くなった。
気象庁によると、15日午後9時までに震度1以上の余震の観測は147回で、断続的に続いている。熊本地方は16日午後から雨が予想され、土砂崩れなど二次災害への警戒も必要だ。気象庁は今回の地震を「平成28年熊本地震」と命名した。
政府の地震調査委員会は活断層の「日奈久(ひなぐ)断層帯」の北側の区間がずれて発生した可能性が高いとし、国土地理院も地下の断層が長さ18キロ、幅10キロにわたって60センチずれたとの解析結果を示した。
県警と消防が徹夜で被災者の救出作業を続ける一方、九州電力などがインフラ復旧を進めた。県内約500カ所に一時約4万4400人が避難したが、午後3時現在、約7300人に減少した。
九州電力によると、熊本県内では益城町を中心に一時約1万6300世帯が停電したが、15日午後3時時点で1万2500世帯まで減少した。
九州新幹線は15日、全区間で始発から運転を見合わせた。山陽新幹線は九州に直通する列車を博多止まりとした。西日本高速道路によると、九州自動車道は熊本県内で路面の陥没や隆起が多数発生し、一部区間が通行止めとなった。文部科学省は熊本県内で公私立の小中高校など計390校が休校になっていると発表した。
地震は14日午後9時26分ごろに発生し震度7を観測。九州中部を中心に西日本の広い範囲で強い揺れを記録した。