大泉洋 漫画原作ものへの思い
公開前に三大ファンタスティック映画祭すべてで賞を獲得する“完全制覇”を達成した、俳優・大泉洋(43)の主演映画「アイアムアヒーロー」が封切られた。意外にも大泉の経歴では少ない漫画原作ものへの出演。「原作もので漫画というのは、小説とは違ったプレッシャーがありましたね」と振り返った。
読者がイメージを膨らませる小説とは違い、確固たるビジュアルが存在するのが漫画原作。「主演ということもあったし、原作ファンのみなさんに対する敬意を表したいという思い」から、できるだけ主人公・鈴木英雄に近づくよう手を尽くした。うだつの上がらない漫画家アシスタントで、メガネにひげ面の三枚目。似せるポイントは“ざわちん流”だったという。
「昔、ざわちんさんが『似るかどうかは眉毛だ。眉毛を完コピできると大概は似る』とおっしゃっていたんですよね。僕らも近いものがありましたね。メークさんと漫画を見ながら眉毛を再現して、メガネと帽子を着けたら『似てきたんじゃない?!』って」
謎の感染によって人々を襲うようになった人間・ZQN(ゾキュン)と戦うシーンでは、英雄が趣味で持っていた猟銃が武器。大泉はクレー射撃で構えを身に染みこませ、ロケ先の韓国では実弾射撃も行った。天然パーマをヘアアイロンでストレートヘアに変え、銃を構える姿は原作そのままといったクオリティーだ。
原作が人気であればあるほど、実写化のキャスティングを巡って公開前から賛否両論の意見が飛び交うことも多い。ビジュアルは細部までこだわった大泉だが「原作を忠実に映像化することがいいことだとは思わない」が持論だ。
「僕が(英雄に)なったことで不満を持つ人もたくさんいるでしょうし、期待してくれる人もいるでしょう。そこに一喜一憂していたら身が持たない。あとは(できあがった作品を)見たときに、どれだけ(否の感情を)払しょくできるかだと思う。漫画の匂いだったり、漫画の持つ本質だったり、そういうものが伝わればいいかなと思うんですよ」
力強い言葉は、自信の裏返しでもあるだろう。結果は観客が判断する。