“神スイング”稲村が見せた“神投球”
練習でのキャッチボールを撮影して正直、驚いた。テークバックからリリースへ向かう腕のしなりが素人のレベルを超えている。もはやタレントではない。“神の領域”と言ってもいいだろう。
“神スイング”が代名詞となっているタレントの稲村亜美(20)が24日のロッテ-オリックス(QVCマリン)の始球式で念願の大台超えとなる103キロをマークした。
5日の西武-日本ハム(西武プリンス)でも登板したが98キロ止まり。「初の100キロ越えを目指して頑張りたい」と意気込みを見せていた。
本番前にはロッテの二木康太投手(20)を相手に入念にキャッチボール。細い腕をしならせながら繰り出す剛球にスタンドのファンからも1球ごとに「オー」と歓声が上がった。
小1から中3まで野球に打ち込み、特に中学ではシニアリーグに所属していた本格派。この腕のしなりも納得できる。キャッチボールを終えると「いい感じで肩が仕上がりました」とプロ顔負けのコメントで本番での100キロ超えにつなげた。
プロでもここまでしならせられる投手は少ない。実際、同じ日に先発したスタンリッジのフォームを見ても違いは明らかだ。もちろんプロは肘への負担を考慮して、入念にフォームを作り上げていく。だが素人はこの“しならせる”ということができない。
最近はスマホアプリなどで簡単に連続写真が撮れる。草野球で自分の投球フォームを撮影した人なら、ここまでしならせるのが容易ではないことを理解してもらえるはずだ。私も以前、自分の投球フォームの写真を本紙の評論家に見てもらったことがあるが「腕が硬すぎるよ」と酷評された。
二刀流で行われた「始打式」は三振に終わり“神スイング”は空振りに終わったが「投げるほうで取り返したい」と臨んだ本番で見事な大台超え。まさに“神投球”が誕生した。
(写真と文=デイリースポーツ・出月俊成)