サブちゃん喜び爆発「まつり」熱唱
北国の春ならぬ“北島の春”だ。競馬のG1レース「天皇賞・春」が1日、京都競馬場で行われ、第153回を迎えた伝統の一戦を、わずか4センチ差で制したのはキタサンブラック。先月29日に天皇陛下から「旭日小綬章」を受章したばかりの北島三郎オーナー(79、馬主名義は大野商事)は、そのわずか2日後に天皇盾を獲得した。レース後は“歌わない宣言”をあっさり覆して『まつり』のワンフレーズを替え歌で熱唱。京都競馬場は大盛り上がりとなった。
国民的歌手の天皇賞制覇。約8万人の競馬ファンから祝福の「まつり!」コールが巻き起こる。「競馬は馬と騎手が主役。今回は歌わないよ」と、実はレース前には“歌わない宣言”をしていたサブちゃん。だがファンの後押しにエンターテイナーの血が騒ぐ。マイクを取ると、まずは「きょうは武さんが歌って!」と勝利騎手の武豊にムチャぶり。苦笑いする姿を見て…
ま~つりだ!キタサンま~つり~!
きょうは武さん!まつり~だよ~!
昨秋の菊花賞制覇時に続き、夕暮れの淀で、またもVの凱歌をとどろかせ、表彰式を盛り上げた。「武さんの顔を見ていてうれしくなって。お客さんの熱気に後押しされてね」と、春の天皇賞7勝目となった鞍上をたたえながら、満面の笑みで勝利をかみしめた。
愛馬・キタサンブラックで菊花賞に続くG1・2勝目。「普段は、夢を売るお仕事ですが、この馬に夢をもらっている。言葉にならない感じ。うれしくて、半べそをかいたよ」と喜びを表現した。手にした天皇賞の盾は「本当に重い。でも重さとありがたさでいっぱいでした」と心地良い重みだったという。
「武君に全て託している」と臨んだレース。舞台は昨年勝った菊花賞と同じとあって、徹底的に同じ行動をするという縁起を担いだ。
(1)同じ神社で必勝祈願(2)前日に京都入り(3)夕食は同じ店で同じメニューの鍋料理(4)同じホテルの同じ部屋に宿泊(5)この日、競馬場入りする際、同じタクシーの運転手を指名(ちなみに運転手は「金馬」さんと縁起いい名字)(6)競馬場での昼食はカツカレーを12人前注文(7)帰京前の打ち上げも同じ会場を予約-。
そんな7つの縁起担ぎもあってのV。4月29日には本業の演歌歌手としての活動が認められ天皇陛下から「旭日小綬章」を受章したばかり。そしてわずか数日のうちに、今度は馬主として天皇賞を初挑戦で制覇した。
「これでいいのかな。家に帰ったら、倒れないようにしないと」と本人も驚きの慶事続きだが、「生きていて良かった。皆さんのおかげです」と感謝の言葉で締めくくった79歳。これまでの人生で最高のゴールデンウイークとなったのは確かだ。