１２日に肺炎による多臓器不全のため８０歳で死去した、演出家の蜷川幸雄さんの通夜が１５日、東京・青山葬儀所でしめやかに営まれた。通夜にはＳＭＡＰの木村拓哉（４３）ら著名人やファン１５７６人が参列した。

　俳優の西岡徳馬（６９）は、蜷川さんと、１０年に死去した劇作家・演出家のつかこうへいさんを引き合わせた秘話を披露した。日時は明かさなかったものの、つかさんからの要請で、東京・帝国ホテルで蜷川さんを紹介。つかさんが「スターをつくりたい。俺も使うから蜷川さんも使ってくれ」と頭を下げたが、蜷川さんは応じなかったという。それでも「お互いリスペクトしていたと思う」と日本演劇界の二大巨星の歴史的対談を懐かしんだ。

　また、蜷川さんの素顔について「酒は飲まなかった。けいこが終わるとすぐ帰っちゃう。（飲み屋で）俳優と演劇論を戦わせたりするのが嫌で、一線を引いていた」と明かした。７４年に上演した「ロミオとジュリエット」以来４０年以上もコンビを組んだ。「蜷川さんは戦友。壮絶な戦死をとげた。つまんねえな」と残念がった。