まな弟子 小栗旬「夢に叱りに来て」
12日に肺炎による多臓器不全のため80歳で死去した、演出家の蜷川幸雄さんの葬儀が16日、東京・青山葬儀所で営まれた。
濃密な時間を共有した戦友たちが弔辞を読み上げた。
同世代の平幹二朗(82)は、17本の作品でタッグを組んだ40年間の付き合いを回顧。「あなたの熱情に突き動かされ、僕の中のほむらが燃え上がってしまう。まだ消えていません」としのんだ。
初めて海外公演を経験させてもらった大竹しのぶ(58)は「マクベス」で米ニューヨークの劇場に入ったときを述懐。「『僕が海外に出る理由わかる?いつも勝負していたいんだ。ダメになっちゃうだろ?』。蜷川さんの思いが、日本と世界をつなげているんだと実感しました」と“世界のニナガワ”の信念を伝えた。
吉田鋼太郎(57)は「僕が超売れっ子になったのは、蜷川さんの責任です」と冗談まじりに訴えた。お見舞いに行った際の蜷川さんの顔を目に焼き付けるため、棺に納められた蜷川さんとは対面しなかったことを明かした。
まな弟子の小栗旬(33)は怒られた言葉を思い出していた。「不感症」「雰囲気」「デブじゃない?」。愛ある辛口のエールが励みだった。「不安だから、こっそり夢に叱りに来てください」。天国の恩師にお願いした。