なすび エベレスト登頂についに成功
東日本大震災で被害を受けた福島県の復興を願ってエベレスト登山に挑んできた、同県出身のお笑い芸人で俳優のなすび(40)が19日、登頂を果たした。2013年から4年連続で挑んできた世界最高峰を、ついに征服。なすびは自身のツイッターで「エベレスト8848mの山頂です!青空!」と、夢の結実を喜んだ。
なすびの執念が、世界の頂に届いた。日本時間の19日午後3時5分、国際山岳ガイド・近藤謙司氏(53)らと結成したチームで、山頂に到達。同3時40分に、近藤氏の会社に登頂成功の衛星電話が入った。18日深夜から隊員全員がC4キャンプを出発。5~10メートルの強風が吹く中、隊員のうち1人は途中で下山したが、残り5人がアタックを成功させた。
福島県出身のなすびは、東日本大震災で被災した故郷の復活と再生を祈願してエベレスト登山を計画。12年に計画をサポートする「エベチャレ」の事務局が設立された。
13年5月の初挑戦では、山頂から100メートルの地点で悪天候に阻まれ断念した。14年には雪崩事故、15年には大地震とベースキャンプの氷河崩落事故で断念と、命の危険にもさらされてきた。
4度目の挑戦となった今年は4月5日に日本を出発し、6日にネパール・カトマンズ入り。徐々に高度順応しながら22日にベースキャンプに到着し、頂上アタックへ向けてタイミングを計ってきた。
「エベチャレ」事務局の新城隼さん(45)は、なすびの登頂達成に「『今年こそ頑張ってくる』と言って出発していきました。鳥肌が立つほど興奮しました」と大喜び。新城さんによると、過去3年は募金やクラウドファンディングで数百万円の資金を募ったが、今年は一部の募金を除き、大部分をなすびが自費で賄ったという。
現在も月の半分は福島に滞在し、復興支援を行っているなすび。新城さんは「移動も常に徒歩や自転車で、地道に足腰を鍛えてきた。昔のズボンが入らなくなるほど足も太くなった」と明かした。
いまだ復興途上の福島に与えた、希望の光。なすびのツイッターには「おめでとうございます!」「勇気をもらいました」と祝福の言葉が並んだ。