志賀勝と片桐竜次 熱いトークを展開

 東映の大部屋役者からはい上がり、映画「仁義なき戦い」シリーズなど1970年代の日本映画界で脚光を浴びた「ピラニア軍団」。その“軍団”に名を連ねた俳優の志賀勝(74)と片桐竜次(68)が「役者稼業数十年」と題して5月27日夜に都内でトークライブを行った。この日のために京都から上京した志賀は車いすに乗って登壇。片桐は先輩を気遣いながら丁々発止のトークを繰り広げた。

 志賀は松方弘樹についても言及。「向こうは主役、俺は斬られ役。それでも東映では同期。ええ男や」と、療養中の松方への愛着を示した。松方の“釣り友”としても知られる片桐が「撮影が終わると、太秦から祇園町に繰り出して浴びるほど飲んで。46時間飲みっ放しってこともありましたね」と話の下地を作ると、志賀も“舌好調”に。「俺も20~30万円は持って行ったけど、(松方は)1日300~500万円使うこともあった」と明かし、「(松方の)部屋に行ったら、ええ酒がようさん置いてある。みんな飲んでしもた」と会場を笑わせた。

 さらに片桐は“ピラニア軍団”という名称のルーツを明かした。「もともとは志賀さんが“ピラニア会”という名前を考えた。“軍団”じゃなかったんですよ。その後、深作欣二監督が『軍団にしたらいい』ってことで、そうなった」という。

 歌手として「男」「道」「酒」「女」「情」など“タイトル1文字シリーズ”のヒット曲を持つ志賀はマイクを手に歌った。アルバム「ピラニア軍団」の収録曲で、フォーク歌手・三上寛が作詞作曲し、YMO結成前の坂本龍一が編曲した「役者稼業」へのリクエストが会場からあったが、「覚えてません…」(志賀)ということで「道」を熱唱。その時、志賀は車いすから立ち上がっていた。

 そんな案配でイベントは進んでいったのだが、志賀には石原プロが初制作したテレビ映画「大都会 闘いの日々」の第23話「山谷ブルース」(1976年6月8日放送)について取材させていただいた経緯があり、終演後の楽屋を訪ねた。「山谷-」では、大都会シリーズの主役・渡哲也を“食う”迫真の演技を披露。大スターの渡にサインを求めた志賀に対し、渡が「僕にもサインをください」と応えたエピソードを明かしてもらった。

 志賀の最新出演作は、よしもと新喜劇映画「商店街戦争~SUCHICO」(16年)。今後の出演作は未定というが、本人は「刑事役がやりたい」と意欲を示した。“弟分”片桐の活躍が刺激になっていると感じた。

 片桐は東映時代からの盟友・渡瀬恒彦主演のテレビ朝日系「おみやさん」シリーズなどでおなじみ。現在も同局系「相棒」シリーズに内村刑事部長役でレギュラー出演し、今秋には俳優生活45周年記念の主演映画「キリマンジャロは遠く」の公開を控える。ちなみに元刑事役である。志賀の口から出た「刑事役」という言葉と片桐の役回りが重なった。

 数十年を越えて、切磋琢磨(せっさたくま)する2人のベテラン俳優。“ピラニア魂”は今も生きている。

 (デイリースポーツ・北村泰介)

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