ジャニーズ事務所 なぜ人材集まるのか 公式募集無し、いつしか履歴書が
今年の夏もジャニーズJr.によるEXシアター六本木公演「サマステ ジャニーズキング」(7月20日~8月28日)が開催される。公演にはジャニーズJr.内ユニット9組45人の出演が決定。現在、ジャニーズJr.には東西合わせて約300人が在籍するという。ジャニーズに絶えず人材が集まるのは、なぜか。入所の道のりをたどった。
ジャニーズ事務所は意外にも、公式にタレント募集を行っていない。初代ジャニーズのデビューから、歌って踊れるアイドルを育成。年々ステージは進化を続け、タレントの個性、歌、ダンス、トークが光り、フライングや特殊効果も合わさる豪華ステージを作り上げてきた。会場で熱気に触れた少年や家族があこがれを抱くようになり、いつしか入所を望む履歴書が事務所に届くようになったという。
事務所は募集をかけたわけではなかったが、「送られてくるものをむげにできない」とオーディションが始まる。ジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長(84)自らが書類選考を行い、コンサート会場などでの面接・実技といったオーディションを不定期で開催するようになった。毎月、多数の履歴書が送られることから、ジャニーズホームページ「F&Qよくあるお問い合わせ一覧」内で「ジャニーズJr.への応募はジャニーズファミリークラブで受付いたします」と住所を明記して案内するようになった。
履歴書から入所する歴史は長い。ジャニーズの“長男”として活躍する歌手・近藤真彦(51)も履歴書をきっかけに入所した1人だ。野球のユニホーム姿をした写真がジャニー喜多川社長(84)の目に留まった。少年隊・東山紀之(49)は社長のスカウトだったが珍しいケースと言える。
近年はタレントの活躍を見て入所を決めたJr.も多数在籍している。Kis-My-Ft2の玉森裕太(26)主演舞台「ドリームボーイズ」(9月3~30日、東京・帝国劇場)の期間限定ユニット「Johnnys’5(ジャニーズ ファイブ)」に選ばれた橋本涼(15)は「亀梨君(KAT-TUN)の舞台『DREAM BOYS』を見たのが、きっかけ」と言い、井上瑞稀(15)も「山田涼介君(Hey!Say!JUMP)が入所のきっかけ」と語る。キスマイの宮田俊哉(27)も6月29日に行われた「ドリームボーイズ」製作発表で「小さい男の子に『ジャニーズに入ってこんなことしてみたい』と思われたい」とあこがれを抱いてもらえるようなステージを意識していた。
ジャニーズJr.は学校の部活動のような育成の場となっており、出るも去るも本人のやる気次第。入所料やレッスン料は取っていない。経済的な負担が少ないことも履歴書を気軽に送れる一因と言えそうだ。
入所後はユニット結成、舞台、ドラマ出演、CDデビューなど目標を掲げながら互いに鍛えることになる。ジャニーズJr.は今回の六本木公演だけでなく、東京・シアタークリエ公演「ジャニーズ銀座」、関西では大阪松竹座公演などジャニーズJr.座長の公演がある。プロデューサーとしてギネス世界記録を持つ社長から助言をもらいながら成長できる環境もまた魅力の一つと言えるだろう。
現在、14年4月に初シングルを発売したジャニーズWEST以来、CDデビューは誕生していない。次期CDデビューの可能性についてジャニー社長はけむに巻く※、何でもこなせて上達も早い現在のジャニーズJr.の能力の高さと成長に感心している。
ジャニー社長は以前に「得意なものをどんどんやらせる。みんなすぐに座長になるから争いの大会。今の若い子はそういう子ばかり」と語っていた。その中で一つ抜けるための能力や特技は、「『自分で見つけろ』と言っている」と話しており、自らが考え抜いて花開く能力に期待を寄せているようだ。
現在のジャニーズJr.が大きく羽ばたき、新たな人材をどれだけ惹きつけていくのかも楽しみにしたい。
(デイリースポーツ・上野明彦)