黒柳徹子 悲しみ乗り越えリスタート 逝ってしまった盟友たちの思い出を胸に
女優の黒柳徹子(82)が23日、長野県北安曇郡松川村の安曇野ちひろ公園で行われた「トットちゃん広場」のオープン記念イベントに出席した。自伝的ベストセラー「窓ぎわのトットちゃん」に登場するトモエ学園を再現したもの。今月7日の永六輔さん、12日の大橋巨泉さんと同世代の仲間の訃報が続く中、松川村名誉村民章も授与された黒柳は「元気に仕事をやっていこうと思います」と悲しみを乗り越え、前を向いた。
童心に帰った“82歳のトットちゃん”に笑顔が戻った。
2月4日放送のテレビ朝日系「徹子の部屋」で鼎談(ていだん)した永さん、巨泉さんと相次いだ別れで、悲しみに暮れた黒柳にとって、いいリスタートとなった。この日、著書「窓ぎわの-」の表紙絵を描いた絵本画家の故いわさきちひろさんの作品を展示した美術館がある、安曇野ちひろ公園内に開場した「トットちゃん広場」へ来場。再現された「電車の教室」に入り、車両の窓からチンドン屋を呼ぶなど、当時の思い出をよみがえらせながら地元の子供らと楽しみを共有した。
いわさきちひろ記念事業団理事長を務める山田洋次監督(84)から「絶対泣くと思った」と言われた黒柳は、「昔の気分になった。涙が出ました。生きている間に自分の昔がよみがえる。私はラッキー」と感涙したことを明かした。地域貢献したことから史上2人目という松川村名誉村民章も受章した。
つらい7月だった。永さんの死去の際はお悔やみで「最後の一撃のよう」と表現し、巨泉さんの訃報にはコメントしなかった。それほどショックを受けた黒柳だったが、「すごく仲のいい友達が何人か亡くなったりして、悲しいことがあったんですけど、ずっとうれしいことがあった。これからも元気に仕事をやっていこうと思います」と力強く前を向いた。
この日、悲しみを和らげる機会を得たことから、「亡くなったことに関しては申し上げました。きょうは、めでたい日なのであんまり悲しい未来のない話はやめておきたい」と改めて深く語ることは控えた。少女時代の思い出に触れ、受章を喜んだ黒柳。永さん、巨泉さんの思い出を胸に、2人の分もしっかりと歩み続ける。
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黒柳と永六輔さん、大橋巨泉さんは同年代でテレビ黎明(れいめい)期から活躍した。永さんとは昭和30年代、テレビ番組「午後のおしゃべり」「夢であいましょう」で出会い、永さんと結婚話も浮上したこともあるなど、厚い友情で結ばれていた。
また、巨泉さんが80歳のときに開催した生前葬だったという「傘寿の会」には永さんとともに出席。2月4日放送「徹子の部屋」では、巨泉さんはやせた姿ながら、「徹子さんとの約束だから」と永さんと出演を果たした。