セルジオ・メンデス 50周年の集大成 ブラジルのスーパースター今年2度目の来日
ブラジルが生んだ世界的なアーティスト、セルジオ・メンデス(75)が、ジャズフェスティバル「第15回 東京JAZZ」に出演(9月4日、東京国際フォーラム)するため来日し、このほど都内でデイリースポーツの単独取材に応じた。今年は伝説のバンド「セルジオ・メンデス&ブラジル’66」のデビューと大ヒット曲「マシュ・ケ・ナダ」から50周年という記念の年で、メンデスはキャリアの集大成を見せるべく意気込んでいる。
メンデスは3月に単独公演と福島での「ミュージック・フォー・トゥモロー・イン・フクシマ」のため来日したばかり。今回も東京JAZZの他、福島、岩手のジャズフェスにも出演する。
1963年に初来日し、70年大阪万博での伝説的なコンサートなど頻繁に来日公演を行ってきたメンデスは「年2回は初めてだと思うけど、年5回は来たいね。日本人とは相思相愛のような気がしている」と笑う。
「16歳で黒澤明の映画を見て初めて日本文化に触れ、人生に大きな影響があった。川端康成、三島由紀夫も読んだし、丹下健三、安藤忠雄らの日本の建築も、円通寺、金閣寺などの簡素で優雅な日本の寺院も、伝統音楽も、懐石料理も大好きだ。日本に来て正しいことを学ぶのはいつも魅力的で、熱海に1週間滞在して温泉につかっていたこともあるし、現代美術もたくさん家に飾ってある。日本文化の全てが私を魅了してやまないのさ」
今回は50周年の特別な公演。自身を「とてもオープンマインド。新しいものに興味津々で、新しい人とやること、発見のプロセスが大好き」と言うように、クラシックからジャズを経てボサノバへ移行し、近年もヒップホップやJポップを採り入れるなど、新境地を開拓してきた。
バンドの歌手はいつも通り、46年連れ添う愛妻グラシーナ・レポラーセ(66)。メンデスは「家族と皆さんで50周年をお祝いしたい。私の音楽の歴史、50年間でレコーディングした全ての曲を祝福するつもりで演奏する」と、集大成を聴かせることを約束した。
母国で開催されたリオ五輪では、期間中に米国公演があったためテレビ観戦。貧困地区出身のブラジル代表のメダル獲得や、女子体操で金4個のシモーネ・バイルズ(米国)が「マシュ・ケ・ナダ」を使用したことを喜んだ。「安倍首相がマリオになって出てきたサプライズは素晴らしいアイデア。東京五輪の開会式では、私がブラジルで土管に入って東京まで来て『マシュ・ケ・ナダ』を歌いたい。スポーツと音楽は人々を美しい形で結びつけることができる」と、東京五輪に名乗りを上げていた。