小池都知事、3会場で代替地検討 東京五輪経費3兆円超える可能性

 2020年東京五輪・パラリンピックの開催費用などを検証する東京都の調査チームは29日の「都政改革本部」第2回会議で、大会経費が推計で3兆円を超える可能性を指摘し、コスト削減のため三つの競技会場の建設中止を含め抜本的に見直す案を小池百合子知事(64)に報告した。小池知事は代替地での開催が可能か検討に入り、1カ月をめどに見直しの方向性を示す。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は見直しは難しいとの見解を示した。

 「負の遺産を都民に押しつけるわけにはいかない。早急に答えを出したい」。小池知事は記者団に述べた。

 上山信一慶応大教授らの調査チームが見直し対象としたのは、ボートとカヌー・スプリント会場の「海の森水上競技場」、バレーボール会場の「有明アリーナ」と、水泳会場の「五輪水泳センター」。代替地の候補として、ボートとカヌー・スプリントは宮城県登米市の「長沼ボート場」、水泳は江東区の「東京辰巳国際水泳場」、バレーボールは横浜市の「パシフィコ横浜」などの展示場・アリーナを挙げた。

 これら既存施設の改修や仮設施設の建設で対応できないか検討し、仮に現在の予定地で建設する場合は過剰な座席数の削減など規模縮小を提案した。

 調査チームは国や都、組織委の役割分担が不明確で司令塔を欠いているとし「社長と財務部長のいない会社と同じ」と批判。各組織のトップが重要事項を協議する「調整会議」が機能不全だと指摘した。コスト抑制のために大会予算は国か都が一元的に管理すべきだと提言し、大会準備態勢の見直しにも踏み込んだ。

 仮設施設は都内会場を都負担とし、都外は地元自治体と国が分担するルール作りなども求めた。

 大会組織委員会は年内に予算計画を国際オリンピック委員会に提出する予定で、見直しとなればスケジュールにも影響しそうだ。大会経費は招致段階で7340億円としていたが、物価高騰などで大幅に膨らむ見通しとなり、組織委の森喜朗会長は15年7月、「2兆円を超すことになるかもしれない」と指摘していた。

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