池乃めだか 井上竜夫さん訃報に「共に新喜劇支えた戦友」
「おじゃましまんにゃわ」などのギャグで人気を博した吉本新喜劇の俳優井上竜夫(いのうえ・たつお、本名龍男)さんが高度肺気腫のため亡くなったことが7日、分かった。74歳だった。“竜じぃ”の愛称で親しまれた井上さん。新喜劇で年齢の近い池乃めだか(73)らが故人を惜しんだ。
池乃のほか、吉本新喜劇の座長の川畑泰史(49)、吉田ヒロ(49)、浅香あき恵(59)が舞台を終えた後に吉本興業大阪本社で会見した。
川畑は2回目の公演前に座員を集めて、他界したことを報告。「昨日聞いたばかりで、まだ楽屋でそういう(偲ぶ)雰囲気でさえない。子どものころから見ていた方。これからの竜じぃの分まで新喜劇は頑張ります」と目を潤ませた。若手の座員の中にはまだ知らない者もおり、「ネットニュースで知った子もいた」と、突然の訃報に楽屋が騒然とした様子を明かした。
お通夜には一部の新喜劇メンバーとともに池乃も参列。「仏さんの顔はきれいでした」と言葉少なに語った。浅香も「若返ったようでした」と穏やかだったことを明かした。
1989年の『吉本やめよッカナ』キャンペーンで、多くの古株が去る中、池乃は井上さんらと共に残って支えた。それだけに「竜じぃの方が年齢は2つ上、劇歴は15、6年先輩ですが、まさに戦友でした」と目をしばたたせた。1カ月ほど前にも入院先を見舞った。「まさかそんなに悪いようには見えなかった『おおきに、ありがとうな』と言われた」とお礼を言われたのが、最後の会話となったことを明かした。
穏やかな人柄で知られ、新喜劇メンバーは「怒った顔を見たことがない」と口をそろえる。だが大好きな三橋美智也さんをカラオケで歌っていて、店員に勝手にキーを変えられたときに「本気で『変えるなーッ』と」と振り返った。さらに桑原から楽屋入りが遅いことを咎められ、二日酔いが残っていたこともあり、「兄さん、すいませんでした」という言葉とは裏腹に、全く反省した風のない逆ギレした態度だったエピソードも披露。「その態度は後で僕のギャグにさせてもらいました。でも竜じぃは、芝居が終わったらすぐに謝りに行っていました」と明かした。
吉田も「僕の初めての舞台で失敗したときも、助け船出してくれて『誰でもやるから』と言ってくれた」と優しい人柄を偲んだ。川畑も「初めて笑いに絡むシーンが、竜じぃに突っ込む役だったんですが、何度も何度も練習に付き合ってくれました」と感謝を口にした。
天然エピソードも数多くあり「いつもスポーツ紙を読んでるんですけど、Hなページにまで読み進めて『あっ、これ昨日のや!』って」と川畑。浅香も「昔の人やから、若手女性座員にちょい触りはありました」と苦笑い。それでも皆から愛された“竜じぃ”を偲んだ。