映画「沈黙」超厳戒体制で世界初公開…警備員が暗視スコープで監視
作家・遠藤周作さんの名作をハリウッドで映画化した「沈黙-サイレンス-」(来年1月21日公開)の会見が19日、都内で行われ、巨匠マーティン・スコセッシ監督(73)、俳優の窪塚洋介(37)、浅野忠信(42)が登壇した。
江戸初期の長崎を舞台にキリシタン弾圧の中で棄教を迫られる人々の姿が鮮烈な映像とともに描かれる。世界初公開となる未完成の本編映像が15分間だけ解禁され、報道陣には通信機器やパソコンを袋に入れるよう求める厳戒態勢。盗撮者が出ないよう、6人の警備員が暗視スコープで監視する徹底ぶりだった。
映像では、踏み絵に屈したキチジロー役の窪塚が宣教師に告悔するシーンや、通訳役の浅野が捕らわれた外国人宣教師に語りかけるシーンを上映。海にはりつけとなり激しい波にさらされる塚本晋也(56)や、全身泥だらけで両腕を縛られた小松菜奈(20)、加瀬亮(41)ら、他の日本人キャストも明らかとなった。
1988年に原作を読み、20年近くかけて脚本を完成、構想28年で製作にこぎ着けたスコセッシ監督は「テーマは異文化の違い、衝突」と熱弁。14歳のころ、アメリカの自宅で溝口健二監督の「雨月物語」を見て以来、日本文化に大きな影響を受けてきたという。マシンガントークに自ら「しゃべりすぎかな?」と突っ込むなど、ちゃめっ気たっぷりだった。
窪塚と浅野はオーディションでの抜てき。撮影を振り返り、窪塚は「監督は撮影初日にキレイなスーツで来られて、汚い酒場での撮影なのに座り込んで演出された。情熱の氷山の一角。メラメラな人なんだなと思った」と告白。スコセッシ監督は、窪塚の起用について「新鮮な解釈を与えたいと思った。大丈夫だと確信した」と絶賛した。
アメリカでは12月に小規模公開し、年明けに拡大する、昨年のアカデミー賞受賞作「レヴェナント」と同じ方式での封切り。オスカー獲得が期待される。主演は「アメイジング・スパイダーマン」でスパイダーマンを演じたアンドリュー・ガーフィールド(33)。
日本でも300スクリーン規模で公開されるという。