村上春樹氏「ハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞」授賞式でスピーチ
デンマークの「ハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞」の今年の受賞者に選ばれた作家の村上春樹氏(67)は30日、童話作家アンデルセンの出身地、同国オーデンセでの授賞式に出席、「影の持つ意味」と題するスピーチで「どれだけ高い壁を築き、厳しく部外者を排除し、歴史を書き換えても、結局は自身を傷つけるだけだ」と語った。壁や部外者などの意味するところは明言しなかった。
村上氏は主人公の影が一人歩きを始め、恐ろしい結末につながるアンデルセンの「影」に触れ「個人だけでなく全ての社会と国家には影があり、個人と同様、向き合わなければならない」と指摘。「向き合わなければいつか影はもっと強大になって戻ってくるだろう」と述べた。