名取裕子「吉原炎上」で共演の根津さん悼む「寡黙で静かな眼差し」と演技の「凄み」
引退した根津甚八=本名・根津透=さんが29日、都内の病院で亡くなった。69歳。かねて病気療養中だった。所属事務所は報道各社にあてたFAXで、死因が深部静脈血栓症及び肺塞栓症による肺炎のためと説明した。葬儀については、故人の遺志により近親者のみの密葬を執り行うという。
根津さんは1978年、大河ドラマ「黄金の日日」で脚光を浴び、82年の映画「さらば愛しき大地」で日本アカデミー賞主演男優賞を受賞。ほかに「吉原炎上」などでも存在感が光った。黒澤明監督の映画「影武者」や「乱」などにも出演。憂いのある色気は男女問わず、多くのファンを魅了した。演技同様、寡黙な人柄だった。
女優・名取裕子(59)は主演映画「吉原炎上」(87年)で共演した根津さんについて「突然の訃報に驚いております。現場ではいつも寡黙で静かなまなざしを持ったとても素敵な方でした」と人柄を振り返り、「しかし一端撮影が始まるとその役に取り組む姿勢に緊張感と凄味が宿りご一緒した時は、いつも身の引き締まる思いでした」と役者としての真摯な姿勢と緊張感を伝えた。
根津さんは15年公開の映画「GONIN サーガ」で一度限りの俳優復帰を果たしており、「昨年長い引退生活の後、映画『GONIN サーガ』で復帰されたと知り、再びスクリーンの中で役を演じることができてよかったと思います。心からご冥福をお祈り申し上げます」と追悼した。