松本伊代 鉄道営業法に違反し今後はどうなる 「行列」北村晴男弁護士に聞く
タレントの松本伊代が線路内に侵入した写真をブログに掲載し、批判を浴びて当該記事を削除、謝罪した。松本の行為は鉄道営業法37条に触れ、過去に同様の行為をした者の中には同法違反として書類送検や逮捕されたケースもある。松本の行為を捜査当局はどれほど注目するのか、ほかに抵触する恐れのある法律はあるのか。日本テレビ「行列のできる法律相談所」に出演する北村晴男弁護士に聞いた。
鉄道営業法37条は「停車場その他鉄道地内にみだりに立ち入りたる者は」として1万円未満の科料に処すことを定めている。刑事罰が科されている以上、捜査当局としては、鉄道会社側から「芸能人のまねをする人が増えては困る。厳しく罰して欲しい」と要請されれば立件について検討せざるを得ないという。
しかし、本人としては写真を撮りたかっただけで特段の悪意があったわけではなく、すでに社会的制裁を受けて謝罪もしているとなれば実際に立件されるとは考えにくい。
線路内に侵入する行為を巡っては近年、「撮(と)り鉄」と呼ばれる鉄道写真愛好家が独自の構図を探って結果的に線路内に侵入するケースが目立っている。場合によっては鉄道の運行に支障をきたすこともあり得る重大な行為であり、刑法234条が定める威力業務妨害に当たるのか。
北村弁護士は刑法が定める「威力」について、「被害者の自由意志を制圧するに足る勢力であることが必要」とし、例えば鉄道職員が数十人もの集団に迫られて、これを排除しようとしても敷地内から排除できないというような状況であることをあげた。従って、線路に入った者が1人であれば同法の適用は容易ではないという。
刑法130条が定める建造物侵入罪には当たるのか。北村弁護士によると、この法律の適用は建物を前提にしている。従って、例えば駅舎があってその敷地が塀などで囲まれている区域に第3者が侵入したのであれば適用できるが、駅舎から遠く離れて線路だけの区域に入っただけでは適用は難しいという。北村弁護士は「刑法は『撮り鉄』を想定して作られていない」と指摘した。
いずれにせよ線路内への侵入は生命の危険を伴い、現に慎まなければならない。
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北村晴男(きたむら・はるお) 弁護士。長野県出身。日本テレビ系「行列のできる法律相談所」にレギュラー出演。趣味はゴルフ、野球。月2回スポーツなど幅広いテーマでメールマガジン「言いすぎか!!弁護士北村晴男 本音を語る(まぐまぐ)」を配信中。