芥川賞に山下澄人さん 脚本家・倉本さんの「富良野塾」卒業
第156回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が19日、都内で開かれ、芥川賞は山下澄人さん(50)の「しんせかい」に、直木賞は恩田陸さん(52)の「蜜蜂と遠雷」にそれぞれ決まった。
山下さんは神戸市生まれ。高校卒業後、脚本家の倉本聡さんの「富良野塾」に入り、現在は劇団「FICTION」主宰。受賞作は、富良野塾での経験をモデルに「先生」の下で俳優修業をするスミトを描く自伝的小説。4回目の候補での受賞。
山下さんは記者会見で倉本さんについて「若い時に両親が死んだので、父親みたいな存在ですね。この会見をどこかで見て『ちゃんとしゃべれ』と怒られるのかな」と苦笑した。
受賞作の単行本の題字は倉本さんの筆。会見で恩師への思いを問われた山下さんは「ありがとうございます、しかないですね」と感謝を口にした。
恩田さんは青森市生まれ。6回目の候補で受賞した。12年かけて書いた受賞作は、ピアノコンクールを題材にした青春群像劇。繰り返される演奏シーンをこまやかに書き分け、音楽の魅力を伝える。
選考委員の浅田次郎さんは「大きなスケールの作品を、きちんとまとめた。音楽や才能というものは小説にしづらいが、多様な言葉で表現した」と授賞理由を説明した。
贈呈式は2月下旬、東京都内のホテルで開かれる。賞金は各100万円。