加藤一二三 九段が引退へ 「神武以来の天才」故大山康晴15世名人らと死闘
将棋の現役最高齢記録を持ち、長くトップ棋士として活躍してきた加藤一二三・九段(77)が19日、第75期名人戦順位戦のC級2組から陥落、規定により現役を引退することが決まった。残る公式戦を全て消化した時点で引退となる。
加藤九段はこの日、対局はなかったが、競争相手が勝ったため、C級2組からフリークラスへの降級が確定した。規定では、名人挑戦者を決める順位戦で最も下のクラスのC級2組から陥落すると、60歳で引退という年齢制限がある。今後は竜王戦、棋王戦、王将戦などで対局を控えている。
加藤九段は12日の対局で故丸田祐三・九段の76歳11カ月を抜き、公式戦に出場した最高齢記録を77歳11日に更新した。福岡県出身。1954年、当時の最年少記録となる14歳7カ月でプロ入りし、史上初めて中学生で棋士となった。この記録は昨年10月、藤井聡太四段が14歳2カ月でプロとなるまで破られなかった。
順位戦最上位のA級には最年少の18歳で昇級、「神武以来の天才」と呼ばれた。昭和の大棋士といわれた故大山康晴15世名人や中原誠16世名人との死闘は、多くのファンを魅了した。
これまでタイトルは名人1期、十段(現在の竜王)3期、王位1期、棋王2期、王将1期の通算8期獲得した。通算勝利数は歴代3位の1323勝(1173敗)。