俳優・松方弘樹さんの訃報から一夜明けた２４日、愛された人柄を表すように、芸能界から悼む声が相次いだ。浮かび上がったのは豪快で、気遣いあふれる素顔だった。

　松方さんにとって初のバラエティーとなった日本テレビ系「天才・たけしの元気が出るテレビ！！」の総合演出を手掛けたテリー伊藤（６７）が２４日、ＴＢＳ系「白熱ライブ　ビビット」での思い出を語った。同番組にはビートたけしらが出演し、１９８０年代から９０年代にかけて大ヒットした。

　松方さんはハンカチで涙をぬぐうなど、ユーモラスで気さくな素顔を披露し、それまでのイメージを一新。任侠（にんきょう）作品のコワモテのメージが変わり、「みんな俺を見てニコニコするようになって」と喜んでいたという。

　また「ぼくが『元気が出るテレビ』を離れて他のスタジオで収録をしていると、びっくりするような差し入れ、夢のような量の差し入れをずっと送ってくれました」と懐かしそうに振り返った。

　坂上忍（４９）は２４日、フジテレビ系「バイキング」で、松方さんが自身の代わりに、先輩俳優・若山富三郎さん（故人）に怒られてくれたエピソードを語った。

　「生意気盛り」の若かりし頃、京都の撮影所で若山さんに呼び出された坂上。楽屋には松方もおり、若山さんは「お前（松方）がバラエティー（※日本テレビ系『元気が出るテレビ』）に出てチャラチャラしてるから、こういうあいさつも出来ないガキが撮影所を歩くようになったんだ」と激怒。松方は坂上の代わりに、ひたすら怒られてくれたという。

　そこから松方さんに飲みに連れて行ってもらうようになったそうで、「豪快で、きれいなお酒の飲み方だった」と悼んだ。

　俳優の千葉真一は「一報を受け、そんなわけないだろ、嘘だろうと自分の耳を疑いました」と驚いたことを明かした。

　千葉は松方さんと「仁義なき戦い」シリーズで共演。温浴器「バブルスター」のＣＭでも共演するなど親交が深かった。現場での松方さんを知っていただけに「松方くんは本物を持っている、本物を伝えることのできる数少ない日本の財産というべき役者でした」と惜しんだ。

　ともに、活気にあふれていた昭和の映画界で育ってきただけに、後輩たちに伝授したいものも多くあったようだ。「彼と一緒に伝えていきたいことはたくさんあったし、支えあった仲でした。本当に残念です」と盟友を失った無念の思いをつづった。