脳リンパ腫のため２１日に死去した俳優・松方弘樹さん（享年７４）と５０年来の親交があった俳優の梅宮辰夫（７８）が２４日、神奈川県真鶴町で取材に応じた。

　１年にわたる闘病で、松方さんの体重は４０キロにまで痩せ細っていたというが、治療が終われば、梅宮と沖縄に釣りに行くことを楽しみにしていたという。親族以外の芸能人で唯一、２３日の密葬にも参列した梅宮は「あいつがいなくなっちゃって、寂しい…悲しい」と盟友との永遠の別れに涙ぐんだ。

　時折笑顔を浮かべ、世界中の海で松方さんと釣りをした思い出などを語った梅宮だが、「棺おけに入ってね。焼き上がって。約５０分で出てきた。花も遺品もない、骨だけがバラバラになって出てきた。悲しかった。人間って簡単にこうなっちゃうんだと…」と、密葬の様子を思い出すと、こらえきれず、目頭を押さえた。

　４歳年下の松方さんは梅宮を「辰兄！」と呼び、実の兄弟のような関係だった。昨年３月からは月１回のペースで松方さんを見舞った。

　昨年５月までは意識もはっきりしており、「土産は辰兄の弁当がいい」と頼まれ、手作り弁当を持っていったことも。しかし、以降は「行くたびに元気がなくなっていった」という。最後に見舞ったのは昨年１２月２０日。脳梗塞を併発したこともあり、「おい！」の呼びかけにも反応はなく、ほとんど意識はなかった。

　元来、ふっくらした体形だったが、闘病で食べることもできず、体重は４０キロにまで減り「骨だけという感じでした」。それでも天国へと旅立つ前は「やっぱり役者。端正な顔で今にも起きてきそうだった」と明かした。

　初共演は１９６５年。演技での共演は映画「仁義なき戦い」など１０回ほどだったが、プライベートで釣りを楽しみ、釣り番組では２５回以上海外にも行った。最後の共演は亡くなる１年前の１月２１日。テレビ東京の町歩きロケだった。

　亡くなった後の２３日、松方さんが、二人で何度も一緒に出掛けた沖縄・与那国島での釣りリハビリを楽しみにしていたことを聞かされた。この日は、入院中に「一緒に釣りに行こう！」と励ました伊豆大島を望む自身の別荘で会見。「（海を）見るたびに思い出す」としんみりと語った。

　自身は昨年、肺炎を患い、昨夏には十二指腸がんで胆のう全部とすい臓と胃の一部を摘出した。「昭和の映画スター、最後の生き残り。最後までそれを貫き通した。大したヤツだと思う」と語り、「オレももうすぐ７９歳。こうして生き延びた分、頑張ってあいつの何年か分、余分に生きてやろうと思う」と歯を食いしばった。