今度のNHK新会長は安全発進 上田良一氏「視聴者の皆様に寄り添う」
NHKの上田良一新会長が25日、都内で就任会見を開いた。3年前、籾井勝人前会長は、この就任会見での発言が問題となり、それが任期の最後まで尾を引いた。だが、上田新会長は、3年半もの間、NHKの経営委員、監査委員を務め、お目付役として籾井体制のNHKを見続けてきたとあって、会見では終始、冷静な答弁。執行部のトップとして静かな船出となった。
籾井前会長は、3年前のこの会見で、放送内容など政権との距離、スタンスの質問に対し「政府が『右』と言っているのにわれわれが『左』と言うわけにはいかない」との考えを示した。また国際放送にも「日本政府と懸け離れたものであってはならない」などと政権寄りの発言を行った。公共放送のトップとしての発言が物議を醸し、就任期間は常にこの発言が付いて回り、逆風が吹き通しだった。
この日、上田氏は自身の基本方針に「視聴者の皆さまに寄り添うような形の経営をやっていきたい。視聴者の信頼あってのNHK。視聴者目線で、必要としている情報を提供していく」と、視聴者との信頼関係の大切さを掲げた。
また政権との向き合い方は「公共放送として、どうしても譲れないのは、自主自立の立場から公平公正、不偏不党の立場を貫くこと。これは環境がいかに変化しても公共放送である限り、譲れない立場だと思う。政治との距離も事実に基づいて、できるだけ多くの角度から丁寧にお伝えして、自主自立の立場から、くどいようですが、公平公正、不偏不党の立場を現場でも必ず貫くように、経営のかじ取りをやっていきたいと考えている」と強く訴えていた。