新NHK会長、マジメ就任会見 上田良一氏“お騒がせ”発言なし

 NHKの上田良一新会長(67)が25日、東京・渋谷の同局で就任会見を行った。基本方針を「視聴者の皆さまに寄り添うような形の経営をやっていきたい。視聴者の信頼あってのNHK。視聴者目線で、必要としている情報を提供していく」と掲げ、視聴者との信頼関係の大切さを掲げた。

 数々の“お騒がせ”発言で物議を醸した籾井勝人前会長(73)を反面教師にしたかのようだった。籾井氏は2014年1月25日の就任会見で、同局のスタンスについての質問に対し「政府が『右』と言っているのにわれわれが『左』と言うわけにはいかない」などとコメント。“公共放送のトップにふさわしくない”と批判を浴びる逆風の中の船出となり、3年の任期中、尾を引く形となった。

 上田新会長は、3年半の間、NHKの経営委員、監査委員を務め、お目付役として籾井体制を見続けてきた。それだけに、会見では冷静な答弁に終始。政権との向き合い方について「公共放送として、どうしても譲れないのは、自主自立の立場から公平公正、不偏不党の立場を貫くこと。これは環境がいかに変化しても公共放送である限り、譲れない立場だと思う」と慎重に回答した。

 さらに、「政治との距離も事実に基づいて、できるだけ多くの角度から丁寧にお伝えして、自主自立の立場から、くどいようですが、公平公正、不偏不党の立場を現場でも必ず貫くように、経営のかじ取りをやっていきたいと考えている」と繰り返し訴えた。同じ轍は踏まない-。新トップは静かに第一歩を踏み出した。

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