NHK 小保方氏の「人権侵害ない」主張変えず…BPO勧告に
NHKは10日、2014年7月27日に放送したNHKスペシャル「調査報告 STAP細胞 不正の深層」について、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会が小保方晴子・元理化学研究所研究員の名誉を毀損(きそん)する人権侵害を認め、再発防止に努めるよう勧告したのを受け、会見を開いた。BPOの決定には「真摯(しんし)に受け止める」とする一方で、「人権を侵害したものではないと考えます」と、小保方氏への人権侵害はないとの主張は変えなかった。
NHKは「番組は、関係者への取材を尽くし、客観的な事実を積み上げ、表現にも配慮しながら制作したもので、人権を侵害したものでないと考えます」とした。
同番組は、英科学誌「ネイチャー」に掲載された小保方氏らによるSTAP細胞に関する論文に関し、画像・グラフの点検やSTAP細胞の由来などについて調査報道。この内容に対し、小保方氏は「ES細胞を『盗み』、それを混入させた細胞を用いて実験を行っていた、と断定的イメージの下で作られたもので、極めて大きな人権侵害があった」と主張し、同委員会に申し立てていた。
この日、BPO側は「小保方氏が、元留学生作製のES細胞を不正行為により入手し、STAP細胞を作製した疑惑がある」と放送したとして、小保方氏への人権侵害を認めた。
NHKは「今後、決定内容を精査した上で、BPOにもNHKの見解を伝え、意見交換をしていきます。また放送倫理上の問題を指摘された取材方法については、再発防止を徹底していきます」と説明している。