三浦九段復帰戦、羽生に惜敗 将棋ソフト使用疑惑後4カ月ぶり公式戦
コンピューター将棋ソフトの不正使用疑惑を指摘され、後に不正の証拠はないと認められた三浦弘行九段(43)が13日、東京都渋谷区の将棋会館で、羽生善治3冠(46)を相手に昨年10月以来となる復帰戦として、竜王戦1組ランキング戦に臨んだ。12時間以上の熱戦の末、131手で敗れた。対局前には金属探知機を用いてボディーチェックを実施。将棋連盟新会長に就任したばかりの佐藤康光九段が立ち会い、報道陣も約50人が集まるなど、異様な雰囲気に包まれた。
疑いが晴れ、再び歩み出した棋士人生の第一歩は、大熱戦の末の悔しい敗戦となった。三浦九段にとっては昨年10月3日のA級順位戦・渡辺明竜王(32)戦以来、約4カ月ぶりの公式戦となったが、勝利で飾ることはできなかった。三浦九段は終局後「難しい将棋でした」と、疲労感をにじませた。自信を取り戻したか、との問いには「(負けたのに)プロがそういうことを言ってはいけないと思います」と厳しい表情だった。
また、手応えについて問われると「まだちょっと…。これだけ(将棋を)指さなかったことはないんで」と話すにとどめた。勝った羽生3冠は、三浦九段のブランクについて「まったく感じなかった。新しい将棋で、こちらが苦しい局面が多かった」と話した。
注目の一局に、将棋会館には20社、50人を超える報道陣が集まった。三浦九段は午前9時半ごろ、紺色のスーツに身を包んで登場。対局前には、羽生3冠と双方の希望で、2人で日本将棋連盟の職員による金属探知機でのボディーチェックを非公開で受けた。
重苦しい雰囲気の中で始まった対局は、振り駒の結果、後手番に。相居飛車の激戦となり、一時は優勢と見られていたが、最後は羽生3冠の粘り強い指し回しに屈した。
三浦九段は昨年10月、対局中に将棋ソフトを不正に使用した疑いがあるなどとして、同12月31日までの出場停止処分を受けた。昨年12月に調査委員会によって「証拠はなかった」と結論付けられたが、名誉回復の方法など問題は山積み。一連の騒動の終結には時間がかかりそうだ。