堺正章、かまやつさんに「本当に病気?」最後の舞台前に思い出語っていた
グループサウンズ「ザ・スパイダース」のメンバーとして人気を集め、タレントとしても活躍した歌手・ムッシュかまやつ(本名釜萢弘=かまやつ・ひろし)さんが1日午後6時5分、都内の病院で亡くなった。78歳。東京都出身。昨年5月に肝臓がんが見つかり、9月に公表。昨年12月8日の堺正章の古希記念ライブが、かまやつさんの最後の公の場になった。
客席後方でライブを見守っていたかまやつさんは終盤、堺から「ちょっとお痩せになってるんですよ。無理しないでいいですよ、と言ってたんですが、来てくれて嬉しい限り」と紹介されて、飛び入り出演。脇を抱えられるわけではなく、歩いてステージに上がった。
かまやつさんはまず、トークが達者な堺を「しゃべりが長いね」とイジってみせた。堺に「歌ってかない?」と向けられると、「マイクを持たないと、金もらえないから」とジョーク。堺が「歌う気満々じゃん。元気な証拠。嬉しいです」と喜ぶと、かまやつさんは「ちょっと左耳が(聞こえづらい)。相当いろいろ狂っちゃったからゴメンね」と体調について説明した。
トークに続いて、2人でスパイダースの「サマー・ガール」を披露。かまやつさんには声量もあり、歌声からは衰えを感じさせなかった。歌い終えると、堺と抱擁を交わし、復帰ステージを締めくくった。
開演5時間前には堺が単独で取材に対応。かまやつさんの来場は体調次第とあって、この時点でも、まだ確定とはしていなかった。来場してからも、ステージで歌うことは関係者にも知らされておらず、体調がすぐれていたからこそのサプライズ成立と思われていた。
開演前の取材で堺は、昨年11月に堺の自宅にかまやつさんがやって来たときのことを振り返った。「この前うちへカレーうどんを食べに来てくださったんです。あの方、大好きなんで。午後7時に来られて、午前1時まで。ホントに病気か、アンタ?と思うくらいでした。これはいい方向に向かってらっしゃるなと感じていた」。
その時の会話も「ほとんどかまやつさんがお話しになってましたからね。久しぶりにあんなに言葉が出たんじゃないですか」「結構な時間を過ごされて『かまやつさん、大丈夫ですか?』と聞くと、『OK、OK』とおっしゃったけど、もうちょっと早く帰ってほしかったです(笑)」というほど、元気だったという。
また、スパイダースにとってもかまやつの存在意義についても「大きかったですし、貴重な存在。かまやつさんがスパイダース色を作って、塗ってくれた。そういう意味では、かまやつさんの功績はスパイダースの中では大きいものがありました」と感謝していた。
堺にとっては特別な存在だったかまやつさんの死。堺の悲しみは計り知れない。