渡哲也が涙…渡瀬恒彦さん家族葬 病室で「セリフ全部覚えていた」弟の役者魂明かす
14日に多臓器不全のため亡くなった俳優の渡瀬恒彦さん(享年72)の死が明らかになってから一夜明けた17日、都内の斎場で遺体が荼毘(だび)に付された。親族のみの家族葬で執り行われた葬儀・告別式には兄で俳優の渡哲也(75)ら約30人が参列。渡は帰宅後に都内の自宅で取材に応じ、最後まで尽きなかった渡瀬さんの役者魂を明かした上、「無念だったと思います」と瞳を潤ませた。
夕暮れの自宅に、弟との別れを終えた渡が帰ってきた。渡瀬さんにかけた最後の言葉を聞かれると「特にないです」と静かな表情。だが、思い出を振り返るうちにみるみる瞳が潤んでいった。
前日には直筆のFAXで「この喪失感は何とも言葉になりません」とつづっていた渡。「仕事に対する意欲とか情熱とか責任感みたいなのは十分にあったんですけどね」と声を詰まらせた。
渡瀬さんは病室に台本を持ち込み、いつ撮影に参加してもいいように備えていたそう。亡くなる前日の13日まで関係者とテレビ朝日系「警視庁捜査一課9係 シーズン12」の打ち合わせをしていた。「一般病棟にいるときからセリフは全部覚えてました」と弟の俳優魂を明かした。
「やらしてやりたかったというか…やり通せなかったことは無念だったと思います」。悔しさを押し込めるように目をつぶった。
自身も肺気腫などの呼吸疾患で自宅療養中の渡。普段は酸素吸入器のチューブを装着しているが、この日は外していた。周囲に心配を掛けまいとする気遣いで、体調を聞かれると「この通りです」と笑った。
家族葬でも気丈に振る舞った。身内だけの葬儀は渡瀬さんの意向。俳優の舘ひろし(66)は式の前に線香を上げに訪れた。祭壇は渡瀬さんが好きだった黄色の花・オンシジュームで彩られた。遺影には昨年1月に妻で喪主・い保さんの誕生日に撮影した1枚。戒名はない。棺(ひつぎ)には家族からの手紙と家族旅行の写真が入れられた。
後日、お別れの会が開かれる予定だ。