平気で同じ風呂に入ってきた 浜村淳氏 京唄子さん偲ぶ
故・鳳啓助さんとの夫婦漫才や女優として活躍し、6日に死去した京唄子さんを、パーソナリティーの浜村淳氏がしのんだ。
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私が20代の頃、京都の京洛劇場でお目にかかったのが最初で、以来、何度も演芸番組などでご一緒させていただきました。
賑やかな方で、いつもお会いすると話しかけてくださり、鳳啓助さんのことも、おもしろおかしく話されるんです。啓助さんには風変わりなところもあり唄子さんは「最初は、なんちゅうヤツや」と思われたそうですが、付き合ううちに「才能がある」と惚れられたとか。唄子さんが別れ話になって下駄で殴られたと、傷を見せてこられたこともありましたね。
忘れられないのは、私が千日前の大劇(大阪劇場)に司会で出演しました際、出番を終えて風呂につかっていたら、唄子さんが平気で入ってこられたんです。
湯煙の向こうに大きな口が見えて「あっ、唄子さんや」と。ところが唄子さんは「こんなん地方に公演に行ったら当たり前や」「座頭が最初に入ったら、後は順番なんかあらへん」と気にするそぶりもなし。僕はびっくりして、ずっと湯船から出ることができませんでした。
大阪でスナックをやってらした頃は、ご本人がいないとお客さんが残念がるからと、名古屋で公演があっても、必ずお店に戻ってこられてましたね。
粋で、感情豊かな方で。昨今、昔タイプの「芸人」という気質の方が、次々に旅立たれ、さみしい限りです。