柳楽優弥 大河「直虎」に新風 お手本は寅さん
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(日曜、後8・00)の新たなキーマンとなっているのが、盗賊団の頭・龍雲丸役の柳楽優弥(27)だ。謎の人物として16話に初登場。28日放送の21話から本格的に躍動する。台本ができていない段階で役作りの参考として統括プロデューサーに提示されたのは、国民的シリーズ「男はつらいよ」の主人公・フーテンの寅さんだったという。柳楽の“トラ魂”に迫った。
「寅さん見まくりました。びっくりするくらい。役を理解したいから。温かく、怖い面もあるけど、漂う振り幅がある。面白いんですよ。ほぼ(龍雲丸は)寅さんですからね」と照れくさそうに役作りの秘密を明かした柳楽。全48作中、7作を見たが、撮影中も悩むたびにDVDを回している。「流れ者感」を内部に取り込みたかったという。
井伊家の男系が途絶え、異例の女城主となった直虎(柴咲コウ)は奮闘を続けている。武家の世界が描かれてきたドラマの中で、のちに強力な仲間となる無頼漢の龍雲丸は新たな空気感を作品にもたらす人物だ。
史実に残らないドラマオリジナルキャラとあって、自由度の高さは群を抜く。初登場シーンからふんどし姿の“おいしい役”だが、「自由に想像できてしまうので、怖い。不安が原動力になってます。自由にどうぞ、と言われるんですけど、逆に不自由に感じてしまう。恐れず、開き直って、自由な状況を楽しもうと思ってます。ニュータイプが現れたぞ、って」と、重圧をモチベーションに変えている。
自身との類似点が役に生きた。ひょうひょうとしているようで、徐々に抱えた闇が明らかとなる難役。それは2004年に当時14歳でカンヌ国際映画祭の男優賞を受賞し、その後にスランプを経験した自身に重なった。
「僕も過去にとらわれていた時期があったので、それを(役に)持ってこようと思った。10代後半になって、盲目になって、誰かと自分を比べて…」
苦しみ、悩み、復活したからこそ巡り会えたハマリ役。満を持しての初大河で、演技の世界を流浪した男が中盤戦を盛り上げる。