脳梗塞で緊急入院のざこば【専門家に聞く】
落語家・桂ざこば(69)が27日に脳梗塞のため救急搬送され、大阪市内の病院に緊急入院した。検査の結果「左中大脳動脈閉塞症」「塞栓性脳梗塞」で1カ月以上の入院治療が必要と診断された症状を専門医が解説する。
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脳の血管の障害を総じて、脳卒中と言います。脳卒中には、血管の狭窄(きょうさく)・閉塞による虚血性疾患と、血管の破綻による出血性疾患に分類されます。今回のざこばさんの場合は、脳梗塞ということですから、閉塞による虚血性疾患ということになります。
かつて、脳卒中は死亡原因の1位でしたが、治療法の進歩や血圧・脂質の管理により3位になりましたが、治療開始が遅れるに従って後遺症が重くなりやすく、「寝たきりになる病気」の1位であり、やはり予防と早期受診が理想です。
脳梗塞には、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、ラクナ梗塞の3つがあります。今回のざこばさんの脳梗塞は、症状からすると心原性脳梗塞が疑われます。他の2つの脳梗塞は初期症状が軽いことが多いのですが、心原性脳塞栓症は、心房細動など不整脈が原因で心臓内にできた血栓が飛んで、脳の血管を詰まらせる病気です。脳梗塞の危険因子として、不整脈、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、大量飲酒などが挙げられます。
今回は、左中大脳動脈領域ということですから、右半身のまひ、右同名半盲(視界の右側の視野障害)、言葉を話せない、などの後遺障害が非常に心配されます。
早期に血栓回収療法、tPA療法(点滴治療)などの治療をすれば、後遺症が残らないこともあります。早期の回復を心からお祈り申し上げます。【伊丹市・たにみつ内科 谷光利昭院長】