藤井四段、最多タイ28連勝に挑戦 記録保持者の神谷八段はエール
将棋の公式戦最多となる28連勝の記録を保持する神谷広志八段(56)が20日、本紙の取材に応じ、21日に大阪・関西将棋会館で行われる王将戦一次予選(対澤田真吾六段)でタイ記録に挑む、最年少プロ棋士・藤井聡太四段(14)にエールを送った。神谷八段は、藤井四段の快進撃を手放しで称賛。86年から87年に樹立した自身の記録に並ばれたら「少し寂しい」と心境を明かしつつ、周囲のフィーバーがすさまじい中学生に「自分のために戦えばいい」と助言した。
神谷八段が、自身の記録にあと1勝と迫った藤井四段の実力を絶賛し、トップに上り詰めると断言した。
棋士の誰もが「不動の記録」と称える「28連勝」が30年の時を経て、14歳に更新される可能性が出てきた。現記録保持者の神谷八段は、藤井四段が20連勝をクリアしたときから、自身の記録までたどりつく予感を抱いたという。
並ばれてしまうかもしれないことには「少し寂しいなという気持ちもあります」と本音を吐露。一方で、「この記録は30年前に手に入った骨董品。物置きの隅から出てきて喜んでいます」と明かし、「最近は近所でも有名人なんです」と“藤井効果”に笑顔を見せた。
87年に自身が新記録を作った前年に、塚田泰明九段(52)が当時最多の22連勝を達成した。神谷八段は10連勝した時点で、塚田九段が自身の記録が破られないか心配していると周囲から聞いたといい「塚田君の泣く顔を見てやろう。破ろうと決意した」と当時を振り返った。
デビュー以来、公式戦無キズの藤井四段の快進撃については、映画を見ているようと驚きを隠さない。「将来、彼が天下を取るのはほぼ確定した未来」と言い切り、竜王や名人のタイトル獲得にも期待を寄せた。
藤井四段は連勝記録についての質問には常々「意識せずに一局一局、自然体で臨みたい」と話す。21日は注目を一身に浴びる中での対局となるが、神谷八段は「他の人の期待や重圧なんて関係ない。自分のために戦えばいいんです」とタイ記録への期待を込めてアドバイスを送った。