藤井四段、神の子14歳!30年ぶり歴史的快挙 最多タイ28連勝
将棋の史上最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が21日、大阪市・関西将棋会館で行われた王将戦一次予選で澤田真吾六段(25)を破り、自らのデビューからの公式戦連勝記録を「28」に伸ばした。神谷広志八段(56)が86年から87年にかけて記録した最多記録に30年ぶりに並んだ。対局後、師匠の杉本昌隆七段(47)と2人で会見した最強中学生は「夢にも思わなかった。本当に運が良かった」と落ち着いた表情で語った。
天才中学生がデビューから公式戦で土つかずのまま、ついにプロ棋士全体の連勝記録の頂点にまで到達してしまった。
午前10時に開始した本局は持ち時間は各3時間で、2日に大熱戦を演じた澤田六段との対局。藤井四段が先手で、得意とする「角換わり」の戦型となった。澤田六段の積極的な仕掛けに、藤井四段がうまく差し回して対応、中盤には優勢を築いた。午後4時47分、澤田六段が99手で「負けました」と頭を下げ、投了した。
藤井四段は大記録が懸かった対局も自然体。会見でも「普段通りと思って臨みました」と淡々と振り返った。歴代記録に並んだことも「本当に思ってもみなかったこと。非常に幸運で、つきがあった」といつも通りにはにかんだ表情で、つぶやくように話した。
「誰も破れないのでは」とさえ言われた大記録。やすやすと並ばれた神谷八段は「将来のスーパースターと一瞬でも肩を並べることができてとても光栄です」と14歳の怪物にひれ伏した。「こういう日が来るかもしれないと考えていたが、まさかデビューから無敗で並ぶ人がいるとは夢にも思いませんでした」と驚いた。
存在は社会現象となっている。対局が行われた関西将棋会館に、関係者が「史上最多」というマスコミも25社80人の取材陣が集まった。勝利の直後からニュース速報が流れ、号外が配られた。フィーバーの中心にいる当人は「注目していただけることはありがたい」と涼しい顔だ。
前日には、デビュー戦で対局した加藤一二三九段(77)の引退が決定した。史上初の中学生棋士としてデビューし、「神武以来の天才」と評された加藤九段が引退となった翌日に、大記録に並んだ藤井四段。「加藤先生の姿勢を見習って、一局一局全力投球でいきたいと思います」と宣言した。
「タイトル獲得にはさらに実力を付けることが必要。現状の自分の将棋に満足しているわけではない」と話し、さらなる高みを目ざす“神の子”の次戦は26日。「記録は意識せずに普段通りに」と、自然体で新たな伝説に臨む。