列島 藤井狂騒曲 地元愛知も興奮
中学3年の最年少プロ棋士・藤井聡太四段(14)が、デビューから無敗のまま、連勝最多記録を「29」に更新してから一夜明けた27日、地元の愛知県瀬戸市を中心に盛り上がり、師匠の杉本昌隆七段(48)らはさらなる飛躍に期待を膨らませた。また、26日の放送で藤井四段を特集し、快挙達成を速報したNHK総合テレビ「ニュースウオッチ9」(月~金曜、後9・00)が高視聴率をマークしたことが分かった。
一夜明けても熱気は続いた。朝からテレビや新聞が大記録を伝えるのを見た杉本七段は名古屋市の自宅で「すごすぎてまだ実感が湧かないが、うれしい」と話した。「対局中に疲れた顔も見せたが、最後は危なげなく勝った。将棋が好きで強くなりたいという気持ちを忘れず、次々と記録を塗り替えて」と弟子の将来を思い描いた。
「昨晩は店で地元の人と乾杯して盛り上がりました」。愛知県瀬戸市で藤井四段が5歳から通った将棋教室を運営する文本力雄さん(62)は余韻冷めやらぬ様子。「強い運も聡太に味方している。今後もただ活躍を見守るだけ」と語った。
将棋用具の製造販売店として100年以上の歴史を持つ名古屋市西区の三輪碁盤店。藤井四段を知る代表三輪京司さん(63)は「まずはゆっくり休んで」とねぎらった。店の将棋盤はタイトル戦でも使われている。入門用も扱っているが“藤井ブーム”を受け、3月以降から木製の盤は品不足が続く。「地元出身者として、ぜひタイトルを取ってほしい。お祝いに最高の将棋盤を差し上げたい」と活躍を願った。
瀬戸市は祝賀ムード一色となった。市役所正面に「歴代単独1位」と書かれた縦約10メートルの垂れ幕が掛かると、約100人が拍手が。伊藤保徳市長は「明るい話題で、市民も期待している」と語った。
市内の瀬戸焼きそば店では記念して1皿500円の瀬戸焼きそばを20円値引き。28勝目から始め、勝ち続けるたびに10円ずつ値引きするという。店主の今井祐二さん(55)は「利益が出なくなるかもしれないが、竜王を獲得するまで上り詰めてほしい」と願った。
大記録達成は地元にとどまらず、日本中が注目した。26日のNHK「ニュースウオッチ9」は、冒頭から37分間、藤井四段を特集。午後9時25分に藤井四段の勝利を速報した番組の平均視聴率は、前4週平均の10・3%を3・9ポイント上回る14・2%をマークした。(数字は関東地区、ビデオリサーチ日報調べ)