ももち引退、一粒涙をぬぐい15年のアイドル活動に幕「皆さんが幸せになって」
6月30日限りで芸能界を引退する「ももち」こと嗣永桃子(25)が同日、東京・江東区内の野外特設会場でラストライブ「ありがとう おとももち」を開催し、約8000人のファンに手を振った。めったに泣かないアイドル、プロフェッショナル・アイドルと評されるが、最後の最後に涙をぬぐい丸15年間のアイドル生活に別れを告げた。
21曲にアイドルとしての全てを込め、ダブルアンコールの「ありがとう!おともだち。」を歌い上げると、別れを惜しみながら約4分間、ファンに手を振り続けた。途中、そっと手を目元にやって一粒涙をぬぐったが、決して笑顔を絶やすことはなかった。ステージ奧の階段を上ると、リボンを結んだ右手小指をそっと折って、舞台下へと姿を消した。ももちの小指には、ファンからの愛を受信するアンテナという意味があり、それをたたむことでアイドルと芸能界からの卒業を表現した。
2002年の6月30日にハロー!プロジェクトキッズオーディションに合格してからのアイドルとして5479日が過ぎた。「アイドルになって今日でちょうど15年。私、嗣永桃子は本日をもってアイドルを卒業します」とスピーチし、引退を引き留めてくれたファンには「私は見ての通りビジュアルもいいし、愛嬌もあるし、それでもって運まで持ってるから大丈夫です。皆さんの方が幸せになってください。15年間、たくさんの愛を本当にどうもありがとうございました」と、アイドルとしての自分を貫き、逆にファンを案じた。
1曲目、04年から11年間活動したBerryz工房の「恋はひっぱりだこ」からテンションは最高潮。和服風のドレスに着替えてからは、Berryz工房やBuono!の曲をメドレーで披露した。中盤では「ももち結び」と呼ばれる、独特なツインテールの封印も解いた。代表曲の「ももち!許してにゃん 体操」を観衆と踊り歌うと、「約3年ぶりにももち結び、復活です!おそらく人生の中でもこの髪型でいるのは最後になるでしょう」と少し寂しい宣言も飛び出した。引退に際してプロデューサーのつんく♂がプレゼントした曲「ももち!ずっとおとももち」はプレイングマネージャーとして愛情を注いできたカントリー・ガールズのメンバー5人と歌い上げた。
ちょうど15年前にハロプロキッズの合格通知をつんく♂から受けたこの日に、ラストライブを開催することを熱望した。野外開催は梅雨であるにも関わらず「開放的な中でやりたい」と“わがまま”を通してのもの。思いが通じたのか曇っていた空には、嗣永の角出を祝うかのように次第に晴れ間も見えた。
アイドルとしての分岐点は、意外な場面を挙げた。19歳の時にBerryz工房として出演したフジテレビ系「めちゃ×2イケてるッ!」で、極楽とんぼの加藤浩次と絡み、蹴られ、粉まみれにされ、スタジオから引きずり出されるという散々な目にあった。だが、このイジリが「ももち」の名を全国区に押し上げたと嗣永は振り返る。「嗣永桃子を知らなかった人にも町を歩けば『ももちだ』と言ってもらえるようになったので、つんく♂さんと加藤浩次さんには頭が上がりません」と感謝していた。
「やり残したことはない」と言い切る。今後はアイドルと同じぐらい夢見ていた幼児教育の道を目指す。芸能界復帰の可能性も「今はないですね。なので、本当に今日が皆さんの前に現れる最後だと思うので、笑顔で終わりたいなと思います」と語った。恋愛も人目を気にせずできるが「狙ってくる人いっぱいいると思うんですよ。そりゃそうじゃないですか。こんなかわいくてキラキラした子、そうそういないですよ。そんじょそこらには(笑)。なんですけど、今は考えていません!」と最後の日まで、アイドル道を駆け抜けた。