【一問一答】加藤一二三九段 棋譜を文化遺産として残せば300年後も感動呼ぶ
6月20日の対局で62年10カ月のプロ棋士人生を終えた、将棋の加藤一二三九段(77)が6月30日、東京・将棋会館で引退会見を行った。
-棋士として最大の思い出は。
「初期の代表的なことは、十段の獲得。1手に7時間考えて、素晴らしい手を見つけて勝ったこと、第6局で自らに感動を覚えたこと。これで生涯現役としてやっていく自信が生まれました」
-棋士生活を終えて寂しさは。
「棋士としては、名局の数々を指してきまして、バッハやモーツァルトは、今でも世界中に大きな喜びを与えている。棋譜を文化遺産として残していけば、100年、200年、300年たっても人々の感動を呼ぶ、それだけの自信と誇りはあります」
-今後については。
「私の対局の中の、90%は名局なんですね。これからは、講演とかイベントとか、たくさん仕事が待ってるんですけど、それとは別に、私の将棋はなんで名局かを、本に書いて伝えて行く義務がある。5年がかりぐらいで書いていくつもり」
-最後に一言。
「将棋界は今、佐藤(康光)会長、羽生善治三冠王、谷川浩司永世名人、渡辺明永世竜王、森内(俊之)永世名人と、人格的にも優れ、将棋も完成した達人がそろっています。心安んじて引退していけるので、ありがたいと思っています」