藤井聡太四段 ついに敗れる、プロ初黒星…連勝は「29」でストップ
公式戦歴代最多記録となる29連勝を、デビュー以来無敗で達成した藤井聡太四段(14)が2日、東京・将棋会館で行われた、竜王戦決勝トーナメント2回戦で、佐々木勇気五段(22)と対局。佐々木五段に敗れて公式戦初黒星を喫し、連勝は29で止まった。佐々木五段の気迫あふれる指し回しの前に、藤井四段は中盤から劣勢に。得意の終盤でもその差を詰められず、プロとして初の屈辱を味わった。
伝説の第1章が、ついに終わる時が来た。昨年12月24日、竜王戦6組ランキング戦で、先月20日に引退した加藤一二三九段(77)との対局でスタートした連勝は、約半年の時を経て、29でストップした。
藤井四段は対局前、今年度(4月以降)だけでも19戦19勝という戦績。3カ月で20回目の対局は、2位を7回も引き離す圧倒的な数だった。さらに、愛知県在住の藤井四段にとって、中学に通いながら東京や大阪に出向いて行う対局は、大きな負担。「対局には慣れてきました」と話していたものの、心身ともに重なった疲労は隠せなかった。
加えて、相手の佐々木五段の“打倒・藤井”の執念も、ただならぬものがあった。自身も16歳でプロ入りし、将来のタイトルホルダー候補の呼び声の高い存在。藤井四段が、29連勝を達成した6月26日の竜王戦決勝トーナメント・増田康弘四段戦を観戦した際の眼光の鋭さは、将棋ファンのみならず、世間的にも大きな話題となっていた。
プロとして初めて味わう敗戦の味。それでも、藤井四段が作った伝説が色あせることはない。姉弟子の室田女流二段(28)によると、杉本七段は藤井四段がプロ棋士になった際に「イベントなどで将棋の普及をするのではなくて、将棋に勝ってタイトルをとることが一番の普及」と話していたという。その言葉に応え、すでに社会現象と言える将棋ブームを巻き起こしている藤井四段。師匠の言葉を胸に、敗戦をバネにしてさらなる高みを目指す。