鷲尾真知子「もう泣かない」あふれる夫への思い…中嶋しゅうさんと最後の別れ
6日の舞台出演中に急性大動脈解離を発症し、救急搬送された病院で亡くなった俳優・中嶋しゅうさん(享年69)の葬儀が12日、東京・コムウェルホール高円寺でしめやかに営まれ、俳優の岡本健一(48)、女優の渡辺えり(62)ら約500人が参列した。中嶋さんの妻で女優の鷲尾真知子(68)は喪主あいさつで「もう泣かない」と語り、涙を誘った。
志半ばで旅立った中嶋さんへの思いがあふれていた。参列者によると、愛する夫を突然失った鷲尾は、涙をこらえながら気丈に弔問客に対応していたという。それでも、喪主あいさつで「もう泣かないで頑張る」と話すと、涙がこぼれ落ちた。
自身が出演する東京・明治座での舞台「ふるあめりかに袖はぬらさじ」(8月6日まで)の休演日に葬儀日程を合わせた。中嶋さんは初日だった6日に急死。互いの舞台の成功を約束し合った鷲尾は、穴を開けることなく出演を続ける。友人の渡辺は「今、頑張ってるんだなぁというのを痛いくらいに感じました。これから友達として支えていきたい」と気づかった。
遺影は中嶋さんの優しい笑顔のショット。会場には中嶋さんが出演した舞台の写真や、台本が展示された。ひつぎには愛用のブランド「キャピタル」の洋服や、出演しながら完成作を見ることはかなわなかった映画「関ヶ原」(8月26日公開)の試写状などが納められた。
弔辞を読んだのは中嶋さんと親交の深かった岡本と、東京・新国立劇場の次期演劇部門芸術監督に就任することが決まっている小川絵梨子氏(38)だった。岡本は「たばこ場(喫煙所)でお話をしながら、いろんなことを教えていただきました。すごく大好きな先輩です」と感謝した。中嶋さんにかわいがられ、一緒に舞台を作ることで成長してきたという小川氏は「恩を返せていなくて申し訳ないです」と別れを悔やんだ。
中嶋さんの急死で上演が中止されていた舞台「アザー・デザート・シティーズ」に主演する寺島しのぶ(44)、中嶋さんの代役を務める俳優・斎藤歩(52)らキャストは再開へ向けての集中稽古のため、この日は参列しなかった。13日から、中嶋さんの思いを背負ってステージに立つ。