ジャンプ黄金期秘話 「こち亀」「キャプ翼」「キン肉マン」作家同士がし烈な争い
人気マンガ「キン肉マン」の作者・ゆでたまごの嶋田隆司氏(56)が13日、東京・六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで行われた「創刊50周年記念 週刊少年ジャンプ展VOL.1 創刊~1980年代、伝説のはじまり」(18日~10月15日)の内覧会に出席し、連載当時、作家同士が「ギスギスしてた」と告白した。読者アンケートによるし烈な首位争いのために、情報戦が展開されていたことも明かし、人気雑誌の実態を浮き彫りにした。
1995年には653万部というギネスブックにも認定された発行部数を記録した「少年ジャンプ」で、作家同士の仁義なき戦いが繰り広げられていた。この日の内覧会には「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の秋本治氏(64)、「キン肉マン」のゆでたまごの嶋田氏と中井義則氏(56)、「キャプテン翼」の高橋陽一氏(56)が出席し、連載当時の思い出などを語った。
嶋田氏はジャンプが「読者アンケート至上主義」だったことを認め「競争してたから(雑誌が)売れたんです。みんなギスギスしてましたよ」と内情を暴露した。
同誌については、半ば都市伝説的に、アンケートハガキの人気によって、連載10週未満であっても打ち切りが冷徹に決められるとされていたが、作家自らが認めた形。「当時は(高橋)陽一君と目も合わせたくないくらいだった」と激しいライバル心を明かした。
争いは情報戦にまで発展していたそうで「他の連載が盛り上がる話になるって分かると、寝かして取っておいたネタをかぶせてつぶしに行く」と告白。打ち合わせで喫茶店に入ると、同じ店にいた「北斗の拳」作画担当の原哲夫氏(55)がすぐに出て行ったこともあったという。
担当編集者同士も険悪になっていたと明かすと、先輩の秋本氏が「嶋田君はちょっと極端だよ」と苦笑いでたしなめる一幕も。高橋氏に対して「今は戦友です」という嶋田氏だが、当時は同誌が掲げるテーマ「努力」「友情」「勝利」のうち「友情」は欠けていたようだ。同誌は5月に200万部を下回ったが、依然としてコミック誌ではトップを維持している。