「Get Wild」作詞の小室みつ子「愛されるJASRACであって」
作詞家、シンガー・ソングライターの小室みつ子が14日、NHK総合「金曜イチから」(金曜、後7時30分)に出演し、番組で取り上げられた日本音楽著作権協会(JASRAC)が楽器教室から著作権使用料を徴収する方針を示している問題について、複雑な胸中を語った。JASRACへは「皆さまに愛されるようなJASRACであってほしい」と呼びかけた。
6月20日には楽器教室を運営する249の会社・団体がJASRACには使用料の徴収権限がないことの確認を求め、東京地裁に集団訴訟を起こした。問題の解決が司法判断に委ねられたことに、TM NETWORKの「GET WILD」(作詞担当、作曲は小室哲哉)などの大ヒット作品を生み出してきた立場から「音楽が大好きでデビューして、作家でもあるので、訴訟は複雑な気持ちですね」と著作権者とユーザーの両方の視点で思いを語った。
作り手としては「私はJASRACの会員なので、JASRACが(著作権者が)1人1人徴収できない分を対価として徴収してくれている。それで私は生活している」という現実を認めている。一方で、作品が広く、多くの人に触れてもらえることにも重きを置いている。著作権を気にするあまり、楽曲・作品を使用そのものをやめようというケースが出てくると想定し、「ユーザーが萎縮しちゃうと、私たち音楽つくっている人間は、もっと聞いてもらいたいし、もっと楽しんでもらいたいのに、できない」とも語った。
JASRACに対しては「音楽の振興と普及をうたっていらっしゃるので、徴収だけではなく、文化をどんどん広げるという部分も考えてもらいたいなと思います」と提言していた。また、放送後に小室はツイッターで「作家にも曲ごとにフリー扱いできる選択肢があればいいのに」と思いを語っている。JASRACの公式サイトには、著作権者は演奏権を含む「支分権」ごとに、JASRACに委託する範囲を選択することはできるとあるが、「作品ごとの選択はできません」と掲載されている。
今回の楽器教室からの著作権料徴収の問題は、シンガー・ソングライターの宇多田ヒカルが「もし学校の授業で私の曲を使いたいっていう先生や生徒がいたら、著作権料なんか気にしないで無料で使って欲しいな」とツイッターで意見を述べるなど、著作権で「守られる側」であるアーティストからも、多様な声が上げられている。
争点としては、楽器教室のような空間で先生が生徒へ向けて、あるいは生徒が練習のために演奏することが、公衆への演奏とみなされて、著作権者が持つ演奏権の範囲に含まれるのか、という点などが考えられる。