2児の母・フジ島田彩夏アナの帯挑戦「誰かがやらないと殻破れない」
フジテレビの平日夕方の報道・情報番組「みんなのニュース」(月~金曜、後4時50分)のMCに2日から島田彩夏アナ(43)が加わる。1歳と2歳の男児を育てながら挑む帯番組。仕事との両立を目指す思いや、番組にかける情熱を聞いた。「伝わること」をアナウンサーとして大事にする中で、子育て中だからこそ伝えていきたいこととは。
「意気込みですか?意気込みねえ…」。最初の質問から少し考えてしまった島田アナ。少したってから出てきた答えは主婦ならではなものだった。
「夕方のニュースって、主婦の方とか女性が見てくださっていると思う。私自身も育休で2年半ぐらい休んでいたんですけど、どしっと座って『さあ、見るか』という感じでもないんです。その時間って忙しくて。そういう方々に『こういうニュース、聞いたな』と自然に生活の中で伝わるニュースを目指したいなと思っています」
実は今回の起用を打診された時、受けるか一晩考えた。理由は2歳の長男と1歳の次男の気持ちを考えたからだった。「長男はイヤイヤ期で『ごちそうさまでした』も『ごちそうさまでしち』って言うんです。言いたくないから。『ち』って何?!て」。そんな、わんぱくな我が子にエネルギーを使う時期に、平日の帯番組を担当してよいものか。「夫もフルタイムで働いていますし、私も帰ると午後8時半。ちょっと甘えさせてもらって、昼過ぎの会議から(の参加)にさせてもらったんですね。それまでに保育園に送り届けて、買い物して、洗濯掃除して、夕ご飯つくって。会社に行って、ニュースをやって」と、綿密な時間割を立てて回すことにしたが…。それでも「1歳児と2歳児の心がどうなるか」と不安は残った。
挑戦に踏み切ったのは、「誰かがやらないと、その殻が破れないと思った」から。「うちの会社で子どもが1歳、2歳で、女性のアナウンサーでそれをやっている人がいたかと考えた時に、いなかったなあと。それでやってみようかなって思ったんです」。島田アナは別に男性社会に一石を投じたいわけでも、男を敵視しているわけでもない。ただ、自分も自然と“女性はこうあるべき”という考えに「とらわれちゃってるんだな」と思っていたと気付かされた。
「『働くことも悪くないんじゃない?』という考えがどこかにあれば、みんな今後も働きやすいのかなと思いますね」とこれからの社会の姿も頭に浮かんだ。ひょっとしたら、子どもたちは泣くかもしれないが、「お父さんとお母さんが一緒にやっていけたらいいねという。ちょっと一歩踏み出せたらいいなと思ったんですよね。選択肢の一つになったらいいよねと」。小さな火が島田アナの心にともった。
ママがどう働くか、という課題は社会全体が抱える問題でもある。例えば、政治の世界では議員でありながら妊娠することに賛否両論の意見が上がっている。島田アナの個人的な考えは「私はいいと思います」。難しいテーマではあるが、「公職に選ばれて就く人は子どもをその間、産んではいけないのか、となりますよね。逆にそれって性差が生まれますよね。男女平等で働けと言っているけど、子どもをその間、産むことを諦めた人だけが働くというのは、女性にとっての足かせを、どこかでつけてますよね」。反論があること、具体的な育休の期間に考える余地があるとした上で、「みんなで知恵を出してく時期は来ているかなと思います」と自分なりの思いを語ってくれた。
母として考えさせられることは日々、多い。しかる時にもつい、「すごく悪い言葉とか言ったりしますよね。絶対に怒っていない時はしないさわり方をします」としつけ方を反省することもあれば、日本の家庭が子ども中心に回っていることに興味を持つこともある。「ママはどうですかと保育園で聞かれてもぼーっとしちゃうんです。ママと(夫からは)呼ばれていないので。夫とは名前で呼ぶんですけど…。友人に聞くと(夫婦は)同志だねと」。
こうした話題を素直な気持ちで取り上げられる番組になればと考えている。「『男、許せん』みたいな感じではなくて、転換期なんだなというのは感じることです。いろんなご意見があったら、ぜひ教えていただきたいです。『何勝手なことを言ってやがんでい!』っていう人もいると思うんですよね」。ひと言で言えば「挑戦」になる番組加入。「小さい子どもを育てている方は、そういう関係のニュースももちろん気になるじゃないですか。はたまた子育てを終えた方は、銀座にできたランチにみんなで集まりたいとか。人間、自分勝手だから、その時に関心のあることしか見えてなかったりするけど、視点を広げて、その中に潜んでいるニュースはないかなと思います」。しなやかに、幅広く、「みんなのニュース」に風を吹き込む。