須田慎一郎氏はこう見る 選挙の主役は小池都知事

 結局、スタートダッシュに成功した自民、公明両党が、そのまま先行、逃げ切りでゴールイン。終わってみれば何の事はない。今回の総選挙は、与党の圧勝という形で幕を閉じることとなった。

 とはいえ、今回の選挙において主役の座を張ったのは、安倍首相ではない。その座にあったのは、間違いなく小池百合子東京都知事だった。

 もっとも小池都知事自身は、選挙に出馬したわけではない。しかし、新党・希望の党を立ち上げ、自らその代表に就任し、さらには民進党との合流を仕掛けるなど、選挙の序盤戦は、小池都知事の動きを軸に進んでいったと言っていいだろう。

 実を言うと筆者は、状況次第で小池都知事は選挙に出馬してくるだろうと見ていた。

 しかし、小池都知事の「排除します」という発言をきっかけに、小池ブームが失速して行ったため、結局、“小池出馬”のタイミングは訪れることはなかった。

 もし、あの発言がなかったならば、今回の選挙の結果は、まったく違ったものとなっていただろう。

 そうした点を踏まえるならば、安倍首相はライバルの“敵失”に救われたと言えるのではないだろうか。

 その意味で安倍首相は、ツイていた。もちろん運も実力のうちだが、もし仮に安倍首相が今回の選挙結果を本当の実力だと勘違いしてしまったならば、遠からず足元をすくわれることになるだろう。

 なぜなら有権者は、安倍首相に対して全面的な信認を与えたわけではないからだ。

 そのことは、各種世論調査において、安倍内閣に対する支持率を不支持率が上回っていることからも明らかだろう。

 安倍首相は、今回の総選挙で勝利を収めたことを受けて、来年9月の自民党総裁選で三選を果たすことを目指すことになるはずだ。そして、三選を果たしたならば、最長で2021年9月まで総理・総裁の座を確保することになる。まさに異例とも言える超長期政権だ。

 しかし、果たして安倍首相の思惑通りにコトは運ぶのだろうか?

 多くの有権者は、今回の選挙結果を冷ややかな目で見ているはずだ。それこそ、「勝って兜(かぶと)の緒を締めよ」ではないが、安倍首相も余程慎重に政権を運営していかなければ、瞬く間に内閣支持率は低下していくことになるだろう。

 与党が圧勝したとは言え、有権者は何も安倍首相に白紙委任状を与えたわけではないのだ。

 安倍首相の、これからの言動に注目だ。(ジャーナリスト)

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