中村吉右衛門 文化功労者に「後継者育成に力注ぎたい」と抱負
人間国宝の歌舞伎俳優・二代目中村吉右衛門(73)が24日、文化の向上発達に顕著な功績のあった人物に選定される文化功労者となり、都内で会見した。
吉右衛門は歌舞伎界を代表する立役で、「平家女護島 俊寛」の俊寛、「一條大蔵譚」の一條大蔵長成など数多くの当たり役がある。文化功労者に選定された気持ちを「青天のへきれき。私は芝居しかできない役者。びっくりしている」と話した。
吉右衛門は1948年に初舞台を踏み、来年で70周年を迎える。「役者は年齢を重ねればいいというもんじゃないが、長年やっているとノウハウはある。後継者の育成に力を注ぎたい」と抱負を述べた。具体的には「育成は難しいことですが、先代である養父、実父である(松本)白鸚、先人、盟友から言われてきたことを、なるべく若い人に教えたい」と明かした。
吉右衛門は歌舞伎生活でよく覚えている言葉を「初代の養父に言われたのは『役者やめちゃえ』で、実父には稽古で『もう1回、もう1回』と声がかれるまでやったのが記憶に残っています」と話し、最近肝に銘じていることを「歌舞伎役者という商売を天職だと思って舞台を務めようと思っている」と披露した。
車の運転やゴルフなどのスポーツを楽しみにしていたが、体力の衰えもあり、最近の娯楽を吉右衛門は「絵を描くのもスケッチが難しいので、読書ですね。寝ながらでも読めますから。ドライブに行けるぐらいの体力があればいいなと思いますよ」と話していた。