中村吉右衛門 文化功労者に 来年で初舞台から70周年「後継者育成に力を」
政府は24日、2017年度の文化勲章を、洋画の奥谷博(83)、雅楽の芝祐靖(82)、中国史の斯波義信(87)、光化学・電気化学の藤嶋昭(75)、分子生物学の松原謙一(83)の5氏に贈ることを決めた。文化功労者には歌舞伎の中村吉右衛門(73)、バレエの吉田都(51)、デザイン・文化振興のコシノジュンコ(78)、スポーツの三宅義信(77)の4氏ら15人を選んだ。文化勲章の親授式は11月3日に皇居で、文化功労者の顕彰式は同6日に東京都内のホテルで開かれる。
人間国宝の歌舞伎俳優・二代目中村吉右衛門は、文化功労者に選ばれたことを受け、都内で会見した。
歌舞伎界を代表する立役で、「平家女護島 俊寛」の俊寛、「一條大蔵譚」の一條大蔵長成など数多くの当たり役がある。文化功労者に選定された気持ちを「青天のへきれき。私は芝居しかできない役者。びっくりしている」と語り、はにかんだ。
1948年に初舞台を踏み、来年で70周年。「役者は年齢を重ねればいいというもんじゃないが、長年やっているとノウハウはある。後継者の育成に力を注ぎたい」と抱負を述べる。「育成は難しいことですが、先代である養父、実父である(松本)白鸚(はくおう)、先人、盟友から言われてきたことを、なるべく若い人に教えたい」と歌舞伎という文化を伝承する使命感に燃えている。
自身も「初代の養父に言われたのは『役者やめちゃえ』。実父には稽古で『もう1回、もう1回』と声がかれるまでやったのが記憶に残っています」と先輩の厳しい指導の下、稽古を積み重ねてきた。最近は「歌舞伎役者という商売を天職だと思って、舞台を務めようと思っている」という。
車の運転やゴルフなどのアクティブ派だったが、最近の娯楽は「読書ですね。寝ながらでも読めますから。ドライブに行けるぐらいの体力があればいいなと思いますよ」と笑った。